【幼児・小学生の歯科知識】 歯ブラシの選び方と交換のタイミング

歯みがきは毎日しているのに、「歯ブラシはなんでもいい」と思っていませんか? けれど、歯ブラシはむし歯予防にとても大切な道具であり、種類によって磨きやすさや効果が大きく変わります。サイズ、毛のかたさ、持ちやすさなど、ひとつひとつに意味があります。
また、どんなに良い歯ブラシでも、長く使えば毛先が開いてしまい、みがく力が大きく落ちてしまいます。歯ブラシには “交換のタイミング” があり、それを守らないと、きちんと磨いているつもりでも汚れが落ちにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症の原因になることもあります。
今回のコラムでは、小学生でも自分に合った歯ブラシを選べるように、歯ブラシの特徴や選び方、交換の目安などをくわしく解説していきます。
1. 歯ブラシってどれも同じじゃないの?
ドラッグストアに行くと、歯ブラシがたくさん並んでいますよね。
- 色の違い
- 毛のかたさ
- 毛先の形
- ヘッドのサイズ
- 持ち手の太さや形
たくさんあって迷いますが、「どれでもいいや」で選ぶと、あなたの歯やお口に合わないものを使ってしまい、うまく磨けないことがあります。
歯ブラシは、歯1本1本の表面にあるプラーク(細菌のかたまり)を落とすための道具です。だから、大きすぎたり固すぎたりすると、しっかり当てられなかったり、反対に歯ぐきを傷つけたりすることがあります。
正しい歯ブラシを選ぶことは、むし歯予防の“第一歩”なのです。
2. 歯ブラシ選びのポイント① ヘッドの大きさ
「ヘッド」とは、毛がついている部分です。
●ポイントは「小さめ」を選ぶこと
小学生の場合、ヘッドは小さめのサイズがベストです。
理由は2つ。
- 小さいヘッドの方が、奥歯の奥まで届く
- 歯と歯の間や、歯ぐきとの境目の細かいところを磨きやすい
大きなヘッドだと、口の奥でつっかえてしまい、十分に動かせません。
とくに、6歳臼歯が生えたばかりだと奥に位置するため、小さめヘッドでないとしっかり磨けません。
3. 歯ブラシ選びのポイント② 毛のかたさ
歯ブラシの毛には3種類があります。
- やわらかめ
- ふつう
- かため
小学生におすすめな適切な硬さがあります。
●なぜ「かため」はダメ?
毛がかたすぎると、歯ぐきを傷つけたり、歯の表面を削ってしまうことがあります。
歯ぐきが痛いからとブラッシングが雑になってしまったり、磨く時間が短くなることもあります。
「やわらかめ」はやさしく磨けますが、汚れを落とすには時間をかける必要があります。
4. 歯ブラシ選びのポイント③ 毛の形
毛先の形にも種類があります。
- フラットタイプ(全て同じ長さ)
- 段差タイプ(長さが違う)
- 細い極細毛タイプ
●小学生向きは?
基本はフラットタイプが使いやすくておすすめです。
段差タイプは、力の加減が難しいことがあります。極細毛はうまく使うことが難しすぎて、歯の面が十分に磨けません。
小学生には、まずフラットタイプで正しい磨き方を身につけるのが良いとされています。
5. 歯ブラシ選びのポイント④ 持ち手の形
持ち手は太めが扱いやすいため、小学生には少し太いグリップタイプが向いています。
持ち手が細すぎると、上手にコントロールできずにうまくみがけません。
パームグリップ・サムグリップ・ペングリップで持ちやすいものを選ぶと、正しい力で磨きやすくなります。
6. 電動歯ブラシは使ってもいいの?
最近では子ども向け電動歯ブラシも増えています。
●メリット
- 動かす手間が少なくて楽
- 子どもが楽しんで磨ける場合もある
●注意点
- 電動ブラシが歯をキレイにしてくれるわけではありません。電動ブラシを扱う人の技術によってキレイにできることを理解してください
- 正しい使い方を知らないと磨き残しが出やすい
- ゴシゴシ動かしてしまうと傷をつけてしまう
- 小さい子には扱いが難しい
7. 歯ブラシの交換のタイミング
「まだ使える」「見た目は汚れていない」
――そう思って何か月も同じ歯ブラシを使っていませんか?
実は、歯ブラシは 1か月に1回の交換 が理想です。
●理由① 毛先が開くと汚れが落ちにくい
毛先が広がった歯ブラシは、歯の表面にしっかり当たりません。
見た目ではわかりにくくても、知らないうちに清掃力が落ちています。
●理由② 細菌が増えて不衛生
毎日使う歯ブラシには水分が残り、細菌が繁殖しやすくなります。
長く使うことは、むし歯リスクを高める原因にもなります。
●理由③ 力が強い子はすぐ広がる
毛先が1週間で開く子は、力の入れすぎ。
年齢に応じた持ち方で持ち、的確な力でこする練習をするとよくなります。
8. 歯ブラシ交換のチェックポイント
以下のどれかが当てはまったら交換しましょう。
- 毛先が左右に広がっている
- 毛が曲がっている
- 毛の色が変わってきた
- 1か月以上使っている
- 毛先が歯ぐきをチクチク刺すように感じる
歯ブラシは消耗品です。
むし歯を予防するためには、早め早めの交換が大事です。
9. 自分専用の歯ブラシを持とう
家族の歯ブラシが混ざっていると、間違えて使ってしまいがちです。菌をうつす原因にもなります。
- 色を変える
- 名前シールを貼る
- コップを分ける
などして、自分の歯ブラシがすぐにわかるようにしておくと衛生的で安心です。
10. 歯ブラシだけでなくフロスも使おう
歯ブラシだけで全てのプラークが落とせるわけではありません。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落とせないのです。
デンタルフロスを一緒に使うことで、むし歯予防の効果はぐっと高まります。
子どもの指でも使いやすい「Y字型ホルダーフロス」がおすすめです。
11. まとめ
歯ブラシは、ただの道具ではなく“むし歯予防の武器”。
選ぶポイントや交換時期を知っておくことで、歯みがきの効果はぐんと上がります。
小学生向けのポイントまとめ
- ヘッドは小さめ
- 毛のかたさはふつう
- 毛先はフラットタイプが基本
- グリップは持ちやすいもの
- 電動歯ブラシは使い方が難しすぎます
- 歯ブラシは1か月で交換する
- 汚れを落とすにはデンタルフロスも併用する
これらを守ると、あなたの歯はずっと健康でいられます。
歯ブラシの選び方ひとつで、むし歯のなりやすさは大きく変わるのです。
明日の歯みがきから、ぜひ意識してみてくださいね。
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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