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2025.11.30
【幼児・小学生の歯科知識6/29】食べ物とむし歯:危険なのは甘いものだけじゃない!

「むし歯は甘いものを食べるとなる」と、だれもが一度は聞いたことがあると思います。たしかに、チョコレートやアメ、キャラメルなどの甘いお菓子はむし歯の代表的な原因の一つです。しかし、実はむし歯の原因になるのは甘いものだけではありません。甘くない食べ物でも、食べ方や口の中での変化によってはむし歯を大きく進めてしまうことがあります。
このコラムでは、むし歯がどうして起こるのか、どんな食べ物がむし歯のリスクを高めるのか、そして予防のために今日からできることを、小学生にもわかりやすい言葉でくわしく説明していきます。
■ むし歯はどうやってできるの? 基本のしくみを知ろう
むし歯ができるまでには、いくつかの条件が重なります。むし歯菌(ミュータンス菌)が歯の表面につき、食べたものにふくまれる糖をえさにして酸をつくります。この酸が歯をとかし、やがて穴があいてしまうのがむし歯です。
つまり、むし歯ができるためには次の3つが重なります。
- むし歯菌が口の中にいること
- むし歯菌のエサになる糖があること
- 酸にさらされる時間が長いこと
「むし歯菌がいるだけではむし歯にならない」「甘いものを食べても、すぐにむし歯になるわけではない」ということがポイントです。では、食べ物のどんな部分がこの条件と関係してくるのでしょうか?
■ 甘いものだけじゃない! むし歯リスクの高い食べ物とは?
● 甘くないのにむし歯を進める食べ物がある?
「甘くないから安心」と感じる食品の中にも、むし歯を進めるものがあります。例えば、ポテトチップスやスナック菓子。これらには砂糖が多くないので、甘いお菓子ほどむし歯のイメージはありません。しかし、でんぷんは口の中で分解されると糖に変わり、むし歯菌のエサになります。
さらに厄介なのは「歯にくっつきやすいこと」です。ポテトチップスの細かい粉、クラッカーのかけら、せんべいの破片などは、奥歯の溝に入り込みやすく、長い時間口に残ってしまいます。歯に長くくっつくということは、むし歯菌が酸を作り出す時間も長くなるということ。つまり甘くないスナックでも十分にむし歯の原因になるのです。
● 飲み物にも注意! 甘い・甘くないを超えたリスク
ジュースやスポーツドリンクがむし歯の原因になることは有名ですが、甘い飲み物だけが危険というわけではありません。
例えば、炭酸水(甘くないもの)や無糖の紅茶でも、酸性度が高い場合があります。 酸が強い飲み物は、それ自体が歯の表面を溶かす「酸蝕(さんしょく)」を引き起こし、むし歯菌の攻撃に弱い歯になってしまいます。
さらに、同じ飲み物でも「飲み方」によってリスクが大きく変わります。スポーツドリンクをちびちび飲む、ジュースを時間をかけて飲む、寝る前に甘い飲み物をとる――これらはすべて、口の中が酸性のまま長時間放置されるため、とても危険です。
● 食事の回数・タイミングがむし歯を左右する
むし歯リスクを高めるのは、食べ物そのものだけではありません。食べる頻度も強く影響します。
私たちが何かを食べるたびに、口の中は酸性になり、歯がとけやすい状態になります。
そして、歯の表面から大切なカルシウムが溶け出します。これを「脱灰(だっかい)」といいます。
しかし、時間がたてば唾液が酸を中和し、歯の表面を修復してくれます。これが「再石灰化」です。
ところが、お菓子をだらだら食べたり、すぐにまた何かを口にしたりしていると、再石灰化する時間がなくなり、脱灰ばかりが続いてしまいます。これこそがむし歯が進む大きな理由の一つです。
■ 意外な盲点! “ヘルシー”なのにむし歯の原因?
● ドライフルーツ
ヘルシーなイメージがありますが、実はむし歯リスクはかなり高めです。
理由は
- 糖が濃縮されている
- 歯にねばりつきやすい
- 口の中に長く残る
という条件がそろっているからです。
● フルーツジュース
天然の甘さでも糖は糖。しかも酸性度が高いものも多く、歯にはダブルで負担がかかります。
● ヨーグルトや乳酸菌飲料
加糖タイプには意外と多くの糖が含まれており、毎日続けるほどむし歯のリスクになります。飲むヨーグルトは特に注意。
■ むし歯を防ぐために、今日からできる食べ方の工夫
● 「だらだら食べ」をやめる
食べる回数を決め、時間を空けることで唾液が歯を守る力を取り戻せます。
特に学校から帰ってくるとすぐにお菓子を食べ、夕食までちょこちょこつまむ……という習慣は要注意です。
● 食後は水・お茶で口の中をリセット
糖が残りにくく、口の中が中和されやすくなります。
スポーツドリンクではなく「水分補給は基本的に水」に切り替えるのがおすすめ。
● アメやグミより、すぐに食べ終わるお菓子
アメ・キャラメル・グミは口の中に長く残りやすいので、むし歯リスクが高めです。食べるなら時間の短いものを選びましょう。
● 食後の歯みがきの習慣
むし歯菌のえさとなる糖や食べかすを残さないことが最強の予防です。
歯みがきがむずかしいときは、せめてうがいだけでもしましょう。
■ 親子で取り組める生活習慣のチェックリスト
- 朝・昼・夜の歯みがきができている
- お菓子を食べる時間を決めている
- 水分補給は水かお茶
- 夜寝る前に甘いものを口にしない
- スポーツドリンクのむし歯リスクを理解する
- 食べたあとに何か飲んで口をすすぐ
- 毎月、歯ブラシを交換する
これらができるようになると、むし歯のリスクは大きく下がります。
■ まとめ:食べ物の選び方で歯は守れる!
むし歯は甘いものだけで起こるわけではありません。
甘くない食べ物でも、歯にくっつきやすいもの、飲み方・食べ方によって糖が口に残るもの、酸が強い飲み物など、さまざまな“落とし穴”があります。
でも心配する必要はありません。食べ方の工夫・飲み方の選び方・歯みがきの継続で、むし歯はしっかり予防できます。今日からできることをひとつずつ実践して、健康で丈夫な歯を育てていきましょう。
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2025.11.28
【幼児・小学生の歯科知識5/29】 歯ブラシの選び方と交換のタイミング

歯みがきは毎日しているのに、「歯ブラシはなんでもいい」と思っていませんか? けれど、歯ブラシはむし歯予防にとても大切な道具であり、種類によって磨きやすさや効果が大きく変わります。サイズ、毛のかたさ、持ちやすさなど、ひとつひとつに意味があります。
また、どんなに良い歯ブラシでも、長く使えば毛先が開いてしまい、みがく力が大きく落ちてしまいます。歯ブラシには “交換のタイミング” があり、それを守らないと、きちんと磨いているつもりでも汚れが落ちにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症の原因になることもあります。
今回のコラムでは、小学生でも自分に合った歯ブラシを選べるように、歯ブラシの特徴や選び方、交換の目安などをくわしく解説していきます。
1. 歯ブラシってどれも同じじゃないの?
ドラッグストアに行くと、歯ブラシがたくさん並んでいますよね。
- 色の違い
- 毛のかたさ
- 毛先の形
- ヘッドのサイズ
- 持ち手の太さや形
たくさんあって迷いますが、「どれでもいいや」で選ぶと、あなたの歯やお口に合わないものを使ってしまい、うまく磨けないことがあります。
歯ブラシは、歯1本1本の表面にあるプラーク(細菌のかたまり)を落とすための道具です。だから、大きすぎたり固すぎたりすると、しっかり当てられなかったり、反対に歯ぐきを傷つけたりすることがあります。
正しい歯ブラシを選ぶことは、むし歯予防の“第一歩”なのです。
2. 歯ブラシ選びのポイント① ヘッドの大きさ
「ヘッド」とは、毛がついている部分です。
●ポイントは「小さめ」を選ぶこと
小学生の場合、ヘッドは小さめのサイズがベストです。
理由は2つ。
- 小さいヘッドの方が、奥歯の奥まで届く
- 歯と歯の間や、歯ぐきとの境目の細かいところを磨きやすい
大きなヘッドだと、口の奥でつっかえてしまい、十分に動かせません。
とくに、6歳臼歯が生えたばかりだと奥に位置するため、小さめヘッドでないとしっかり磨けません。
3. 歯ブラシ選びのポイント② 毛のかたさ
歯ブラシの毛には3種類があります。
- やわらかめ
- ふつう
- かため
小学生におすすめな適切な硬さがあります。
●なぜ「かため」はダメ?
毛がかたすぎると、歯ぐきを傷つけたり、歯の表面を削ってしまうことがあります。
歯ぐきが痛いからとブラッシングが雑になってしまったり、磨く時間が短くなることもあります。
「やわらかめ」はやさしく磨けますが、汚れを落とすには時間をかける必要があります。
4. 歯ブラシ選びのポイント③ 毛の形
毛先の形にも種類があります。
- フラットタイプ(全て同じ長さ)
- 段差タイプ(長さが違う)
- 細い極細毛タイプ
●小学生向きは?
基本はフラットタイプが使いやすくておすすめです。
段差タイプは、力の加減が難しいことがあります。極細毛はうまく使うことが難しすぎて、歯の面が十分に磨けません。
小学生には、まずフラットタイプで正しい磨き方を身につけるのが良いとされています。
5. 歯ブラシ選びのポイント④ 持ち手の形
持ち手は太めが扱いやすいため、小学生には少し太いグリップタイプが向いています。
持ち手が細すぎると、上手にコントロールできずにうまくみがけません。
パームグリップ・サムグリップ・ペングリップで持ちやすいものを選ぶと、正しい力で磨きやすくなります。
6. 電動歯ブラシは使ってもいいの?
最近では子ども向け電動歯ブラシも増えています。
●メリット
- 動かす手間が少なくて楽
- 子どもが楽しんで磨ける場合もある
●注意点
- 電動ブラシが歯をキレイにしてくれるわけではありません。電動ブラシを扱う人の技術によってキレイにできることを理解してください
- 正しい使い方を知らないと磨き残しが出やすい
- ゴシゴシ動かしてしまうと傷をつけてしまう
- 小さい子には扱いが難しい
7. 歯ブラシの交換のタイミング
「まだ使える」「見た目は汚れていない」
――そう思って何か月も同じ歯ブラシを使っていませんか?
実は、歯ブラシは 1か月に1回の交換 が理想です。
●理由① 毛先が開くと汚れが落ちにくい
毛先が広がった歯ブラシは、歯の表面にしっかり当たりません。
見た目ではわかりにくくても、知らないうちに清掃力が落ちています。
●理由② 細菌が増えて不衛生
毎日使う歯ブラシには水分が残り、細菌が繁殖しやすくなります。
長く使うことは、むし歯リスクを高める原因にもなります。
●理由③ 力が強い子はすぐ広がる
毛先が1週間で開く子は、力の入れすぎ。
年齢に応じた持ち方で持ち、的確な力でこする練習をするとよくなります。
8. 歯ブラシ交換のチェックポイント
以下のどれかが当てはまったら交換しましょう。
- 毛先が左右に広がっている
- 毛が曲がっている
- 毛の色が変わってきた
- 1か月以上使っている
- 毛先が歯ぐきをチクチク刺すように感じる
歯ブラシは消耗品です。
むし歯を予防するためには、早め早めの交換が大事です。
9. 自分専用の歯ブラシを持とう
家族の歯ブラシが混ざっていると、間違えて使ってしまいがちです。菌をうつす原因にもなります。
- 色を変える
- 名前シールを貼る
- コップを分ける
などして、自分の歯ブラシがすぐにわかるようにしておくと衛生的で安心です。
10. 歯ブラシだけでなくフロスも使おう
歯ブラシだけで全てのプラークが落とせるわけではありません。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落とせないのです。
デンタルフロスを一緒に使うことで、むし歯予防の効果はぐっと高まります。
子どもの指でも使いやすい「Y字型ホルダーフロス」がおすすめです。
11. まとめ
歯ブラシは、ただの道具ではなく“むし歯予防の武器”。
選ぶポイントや交換時期を知っておくことで、歯みがきの効果はぐんと上がります。
小学生向けのポイントまとめ
- ヘッドは小さめ
- 毛のかたさはふつう
- 毛先はフラットタイプが基本
- グリップは持ちやすいもの
- 電動歯ブラシは使い方が難しすぎます
- 歯ブラシは1か月で交換する
- 汚れを落とすにはデンタルフロスも併用する
これらを守ると、あなたの歯はずっと健康でいられます。
歯ブラシの選び方ひとつで、むし歯のなりやすさは大きく変わるのです。
明日の歯みがきから、ぜひ意識してみてくださいね。
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2025.11.26
【幼児・小学生の歯科知識4/29】歯みがきの基本 歯ブラシの使い方
みなさんは毎日、歯みがきをしていますよね。でも、「本当に正しく磨けているかな?」と考えたことはありますか? 実は、多くの小学生が「磨いているつもり」になっていて、よく見ると磨き残しがあったり、奥歯が全然磨けていなかったりします。
歯みがきは、むし歯や歯ぐきの病気を防ぐために、とても大切な習慣です。でも、ただ歯ブラシを動かしているだけでは意味がありません。正しい磨き方を身につければ、毎日のケアだけでむし歯のリスクを大きく減らすことができ、歯を一生健康に保つことができます。
このコラムでは、小学生にもわかりやすいように、歯みがきの基本、正しい磨き方のコツ、磨きにくい場所の対策、そして歯みがきを楽しく続ける方法までを詳しく紹介します。
1. 歯みがきの本当の目的って?
「歯みがきは歯をきれいにするため」と思っている人が多いですが、本当の目的は 「プラークを取り除くこと」 です。
プラークとは、歯の表面にくっつく白くてネバネバしたかたまりで、細菌(むし歯菌)がたくさん住んでいます。このプラークを放っておくと、むし歯や歯ぐきの炎症の原因になります。
つまり、歯みがきは“歯を磨く”というより “細菌のすみかであるプラークを取り除く作業” なのです。
だから、ただ強くゴシゴシしてもダメ。やさしく丁寧に、プラークをしっかり落とすことが大切です。
2. 正しい歯ブラシの持ち方
歯ブラシは年齢によって、持ち方を変えていきます。
手に力があまりない時には、『パームグリップ』握って持つ方法です。
そして、その次の段階として、握るように持ちながら親指をしっかり立てて歯ブラシを支える『サムグリップ』
さらに、力のコントロールができるようになると、鉛筆持ちと言われる『ペングリップ』で歯ブラシを持ちます。これは・・・
- 力が入りすぎない
- 細かく動かしやすい
- 奥歯の奥まで届きやすい
というメリットがあるためです。
3. 歯みがきの基本ステップ
① 毛先を歯と歯ぐきの境目にあてる
歯ぐきの近くにプラークはたまりやすいので、毛先をきちんと当てることが重要です。
② 力を入れずに小刻みに動かす
2~3本分の歯を目安に、左右に動かします。
ポイントは 「1か所につき10〜20回」。
ササッと3回程度では汚れは落ちません。
③ 奥歯はとくに時間をかけて
噛む面の溝や、奥歯の外側・内側は特に汚れが残りやすい場所です。
上下左右の奥歯をしっかり磨くことで、むし歯予防の効果は大きく変わります。
④ 前歯の裏側は歯ブラシを縦にする
前歯の裏側も基本横みがきでキレイにしましょう。
ただ、うまく動かせない場合は縦にしてストロークを短く動かします。
ここは磨き残しが多い場所です。
⑤ 最後に舌も軽く磨くと口臭予防に
舌には「舌苔(ぜったい)」という白っぽい汚れがつくことがあります。
優しくブラシを当てて、奥から手前へ軽くなでるように磨きます。
4. 磨き残しが多い場所とその対策
小学生が特に磨き残しやすい場所があります。
① 6歳臼歯(奥に生える大きな歯)
生え始めは高さが低く、溝が深く、非常にむし歯になりやすい歯です。
対策:
- 噛む面を丁寧に30回以上こすりましょう
- 歯ブラシの先端(つま先)部分を使ってみがく
- 生え始めの時期は特に丁寧に時間をかける
② 歯と歯の間
歯ブラシだけでは届きません。ここはむし歯がとても多い場所です。
対策:
- 歯と歯の間に毛先を入れるように角度をつける
- デンタルフロスを必ず使う
小学生でも使える「フロス」あります。
③ 前歯の裏側
ブラシが入りにくく、意識しないとほとんど磨けていません。
対策:
- 毛先を歯面にピッタリと押し付けながら、基本横みがきをする
- 歯ブラシを縦にして磨く
- 下の前歯は特にプラークがつきやすいので時間をかける
5. 歯みがきの時間と回数
- 1回3分〜5分
- 朝と夜の1日2回
特に大切なのは 夜(寝る前) の歯みがきです。
寝ている間は唾液が減って細菌が増えやすくなるため、夜の磨きが不十分だとむし歯菌が一気に増え、むし歯になりやすくなります。
6. フッ素入り歯みがきペーストを使う
フッ素には…
- 歯を強くする
- 酸に溶けにくい歯にする
- 初期むし歯を修復する
というメリットがあります。
子ども用のフッ素濃度配合の歯みがきペーストを使えば、毎日の歯みがきがさらに効果的になります。
7. 大人に仕上げみがきをしてもらおう
小学生でも、自分だけだと磨ききれない場所が必ずあります。
とくに低学年では、まだ自分の動かし方が不十分です。
毎日1回でいいので、大人に歯のの仕上げみがきをしてもらいましょう。
ポイントは…
- 上からのぞき込んで奥歯を丁寧に
- 歯の裏側もみがいてもらう
- フロスを清掃もしてもらう
仕上げみがきは小学生のむし歯予防にとても効果的で必要です。
8. 歯みがきを楽しく続けるアイデア
歯みがきは毎日のことなので、楽しく続けられる工夫が大切です。
- 歯みがきアプリ(タイマー付き)を使う
- お気に入りの曲を流して3分間磨く
- 歯みがきカレンダーにチェックをつける
- 家族みんなでみがく時間を作る
- 自分の好きなキャラクターの歯ブラシを使う
楽しく続けられると習慣化し、むし歯予防にもつながります。
9. まとめ
正しい歯みがきは、むし歯や歯ぐきの病気を防ぐために欠かせません。
ただみがくだけでなく…
- 毛先を歯ぐきの境目にしっかり当てる
- ある程度力を入れて大きめに動かす
- 磨き残しやすい場所を意識する
- 夜の歯みがきを大切にする
- デンタルフロスを使う
- フッ素入り歯みがきペーストを使う
- 仕上げみがきを必ずしてもらう
これらを続けることで、歯は驚くほど健康に保たれます。
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2025.11.24
【幼児・小学生の歯科知識3/29】歯ぐきの健康ってなに?血が出るのは歯ぐきの病気
みなさんは、自分の歯ぐきの状態を意識したことがありますか?「歯ぐきって赤くない?」「磨くと血が出ることがある…」そんな経験がある人もいるかもしれません。歯ぐきは、歯を支える大切な部分です。歯ぐきが健康でないと、歯そのものの健康にも影響が出てしまいます。
子どものうちから歯ぐきの健康を知ることは、むし歯予防だけでなく、将来の歯周病予防にもつながります。このコラムでは、歯ぐきの役割、健康な歯ぐきの特徴、歯ぐきのトラブルのサイン、そして歯ぐきを守る方法をわかりやすく説明します。
歯ぐきの役割
歯ぐき(歯肉)は、歯の根元を覆い、歯をしっかり支えるクッションのような役割をしています。歯ぐきがしっかりしていると、食べ物を噛む力を歯に均等に伝えることができ、歯がぐらぐらするのを防ぎます。
また、歯ぐきは体を守るバリアの役割もあります。口の中には食べかすや細菌が常に存在していますが、健康な歯ぐきは細菌が歯の根元に入り込むのを防いでくれます。つまり、歯ぐきが健康であることは、歯そのものを守ることにつながるのです。
健康な歯ぐきの特徴
健康な歯ぐきにはいくつかの特徴があります。
- 色がピンク色
赤すぎず、白っぽすぎず、うすいピンク色が理想です。 - 引き締まっている
指で押したときにブヨブヨせず、しっかりしています。 - 出血しない
歯みがきをしても血が出ないことが健康のサインです。 - 痛みがない
触っても痛くなく、噛んだときも違和感がないことが理想です。
健康な歯ぐきは、見た目や触った感触でもわかります。毎日の歯みがきのときにチェックしてみることが大切です。
歯ぐきのトラブルのサイン
歯ぐきにトラブルが起こると、いくつかのサインが現れます。小学生のうちは、まだ軽い段階で気づくことができれば、簡単なケアで改善できます。
(1) 歯みがきで血が出る
歯ぐきを磨いたときに少し血が出ることがあります。これは「歯ぐきの炎症」のサインです。歯ぐきが炎症を起こしていると、歯ブラシの刺激で簡単に出血します。軽い段階であれば、磨き方を見直すことで改善できます。
(2) 歯ぐきが赤く腫れている
健康な歯ぐきはピンク色ですが、赤く腫れていると炎症があるサインです。腫れがひどいと、痛みや口臭の原因にもなります。
(3) 歯ぐきがブヨブヨしている
押すと柔らかくブヨブヨする歯ぐきは、歯肉炎の症状の一つです。小学生でも、磨き残しや間食の習慣によって起こることがあります。
(4) 口の中がネバネバする
唾液だけではなく、プラークがたまりやすくなると、歯ぐきの表面がネバネバします。ネバネバは細菌が増えているサインです。
歯ぐきの健康を守るための習慣
歯ぐきを健康に保つためには、毎日のケアと生活習慣が大切です。
(1) 正しい歯みがき
- 歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目にあて、しっかりと動かす
- 奥歯や歯の裏側もていねいに磨く
- フッ素入り歯みがきペーストを使う
(2) 間食の工夫
- 甘いものは、時間を決めて食べる
- 食後に歯をみがく習慣をつける
- 水やお茶で口をすすぐ
(3) 生活習慣の見直し
- 夜更かしや寝不足は、唾液の量を減らすことになりむし歯菌が増えやすくなる
- 野菜や硬いものをよく噛むことで血流が良くなり、歯ぐきが強くなる
(4) 定期的な歯医者さんのチェック
- 毎月〜3ヶ月に1回の検診で、歯ぐきの状態を確認する
- 小さな炎症なら的確に歯みがきをすることで歯を守ることができる
歯ぐきのトラブルを防ぐポイント
- 歯ぐきに近い歯をていねいに磨く
- 甘いものは時間を決めて食べる
- 水で口をすすぐ
- 野菜や硬いものをよく噛む
- 歯医者さんで定期チェックを受ける
この5つを意識するだけでも、歯ぐきの健康を大きく守ることができます。小学生のうちから歯ぐきを意識してケアすることで、将来のむし歯や歯周病も防ぐことができるのです。
まとめ
歯ぐきは、歯を支える大切な部分で、体の健康にも影響します。健康な歯ぐきはピンク色で引き締まり、血が出ず、痛みもありません。
歯ぐきのトラブルには、出血、腫れ、ブヨブヨ、ネバネバなどのサインがあります。小さな変化に気づくことが、健康な歯ぐきを守る第一歩です。
毎日の歯みがき、食生活、生活習慣、定期健診を組み合わせて、歯ぐきを守る習慣を身につけましょう。健康な歯ぐきは、食べる楽しみや笑顔を守る力になります。
- 色がピンク色
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2025.11.22
【幼児・小学生の歯科知識2/29】むし歯はどうやってできるの?むし歯予防を考えてみよう
みなさんは「むし歯」という言葉を聞いたことがありますよね。むし歯になると、歯が痛くなったり、食べ物がしみたりして困ることがあります。でも、むし歯はなぜできるのでしょうか?どうすれば防げるのでしょうか?
小学生のうちにむし歯のことをよく知っておくと、毎日の歯みがきや食べ方を工夫して、ずっと健康な歯を保つことができます。このコラムでは、むし歯ができるしくみや、むし歯になりやすい場所、生活習慣、予防の方法までくわしく解説します。
むし歯は細菌が原因でできる
むし歯は、歯そのものが突然穴があくわけではありません。口の中にいる「むし歯菌(ミュータンス菌)」という細菌が、食べ物に含まれる砂糖や炭水化物をエサにして酸を作り、歯の表面を溶かすことで起こります。
むし歯菌は口の中に住みつき、歯の表面にプラーク(歯垢)という白っぽいネバネバのかたまりを作ります。プラークの中で細菌が活発に働き、酸を出すと、歯の表面の「エナメル質」が少しずつ溶けていきます。この状態が長く続くと、やがて穴があき、むし歯になるのです。
ポイントは「細菌+糖分+時間」の3つがそろうとむし歯ができやすい、ということです。甘いものを食べたあとに時間をかけて歯をみがかないと、むし歯菌の活動時間が長くなり、歯が溶けやすくなります。
むし歯になりやすい場所
むし歯は、歯のどこでもできるわけではありません。特にむし歯になりやすい場所があります。
- 奥歯の溝
奥歯は噛む面に細かい溝があり、歯ブラシの毛先が届きにくいです。そのため、食べかすやプラークがたまりやすく、むし歯ができやすい場所です。 - 歯と歯の間
歯ブラシだけではきれいにできない部分です。ここに汚れが残ると、むし歯菌が酸を作りやすくなります。 - 歯の根元(歯ぐきの近く)
歯と歯ぐきの境目もむし歯になりやすい場所です。歯ブラシでやさしく磨くことが大切です。
甘いものだけが原因?
むし歯は砂糖を食べたときにできやすいとよく言われますが、実は甘いものだけが原因ではありません。パンやごはん、麺類などの炭水化物も口の中で細かく分解され、むし歯菌のエサになります。
ポイントは「だらだら食べないこと」です。おやつを長時間かけて食べたり、ジュースを少しずつ飲み続けたりすると、歯の表面がずっと酸にさらされることになります。むし歯菌にとって絶好のチャンスです。
むし歯の進行と症状
むし歯は一気に穴があくわけではなく、段階を踏んで進行します。
- 初期むし歯
歯の表面が白く濁って見えることがあります。痛みはありません。この段階なら、歯みがきやフッ素で再石灰化させて治すことができます。 - 進行むし歯
エナメル質の奥にある「象牙質」までむし歯が進むと、冷たいものや甘いものがしみるようになります。治療が必要です。 - 深いむし歯
さらに進むと歯の神経まで達し、強い痛みが出ます。ここまで進むと早めの歯の治療が必要になり、神経を抜くこともあります。
むし歯になりやすい習慣
むし歯は生活習慣と密接に関係しています。
- 食べたり飲んだりする時間が長い
おやつを少しずつ食べる、ジュースを長時間飲むなどはリスクが高くなります。 - 歯みがきが不十分
前歯だけ磨く、奥歯や歯の間を磨かないなど、汚れが残っているとむし歯になりやすいです。 - フッ素を使わない
フッ素は歯を強くし、酸に負けにくくします。使わないとむし歯になりやすくなります。 - 定期検診に行かない
小さなむし歯は自分では気づきにくいです。早期に発見すれば簡単な処置で治せます。さらに、歯みがきの練習をすることによって、より上手にむし歯菌を減らすことができるようになります。
むし歯を防ぐためにできること
むし歯を防ぐためには、次のような方法があります。
① 毎日の歯みがき
- 食べたあとは必ず歯を磨く
- 自分で磨いた後は、大人に仕上げみがきをしてもらう
- 奥歯や歯の根元もていねいに磨く
- フッ素入り歯みがきペーストを使う
- フロスを使って歯と歯の間の掃除をする
② 間食やジュースの時間を決める
- 甘いものは時間を決めて食べる
- ダラダラ食べやだらだら飲みを避ける
- 水やお茶で口をすすぐ習慣をつける
③ 定期的に歯医者さんに行く
- 毎月〜3ヶ月に1回は予防検診に行く
- 小さなむし歯は早く見つけて治療する
まとめ
むし歯は「細菌+糖分+時間」の3つがそろうことでできます。甘いものだけではなく、食べ方や歯みがきの習慣もとても大切です。
- 前歯だけでなく奥歯や歯の間も磨く
- おやつやジュースはだらだら食べない
- フッ素入り歯みがきペーストを使う
- 毎月〜3ヶ月に一度に歯医者さんに行く
このような習慣を毎日続けることで、むし歯を防ぎ、健康な歯をずっと保つことができます。小学生のうちにむし歯の仕組みを知り、正しい生活習慣を身につけることが、将来の健康な歯への第一歩です。
- 奥歯の溝
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
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