【幼児・小学生の歯科知識28/29】 歯の健康と全身の健康のつながり

みなさんは、「むし歯にならなければいいや」「歯ぐきから血が出ても、すぐ治るでしょ」と思ったことはありませんか?
でも実は、歯と口の健康は、全身の健康と深い深い関係があります。歯はただ食べ物をかむだけの道具ではありません。体の入り口であり、健康を守るための重要な役割を持っています。
このコラムでは、体と歯や口の関係性、今日からできる予防習慣は何かを、大切なポイントとともにくわしくお話しします。
1. なぜ「歯の健康」が「体の健康」につながるの?
みなさんの体の中には、毎日たくさんの食べ物や飲み物が入ってきます。エネルギーを作るため、体を動かすため、成長するためには、しっかり食べることが欠かせません。
しかし、よく考えてみると……
食べる ⇒ かむ ⇒ 飲みこむ ⇒ 消化 ⇒ 栄養になる
という流れの中で、いちばん最初に活躍するのが歯と口です。
もし、むし歯があって痛かったら?
もし、歯ぐきが腫れて血が出たら?
もし、口の中にばい菌がたくさんいたら?
食べるのがつらくなったり、ばい菌が体の中に入ってしまったりします。
つまり、
口は健康のスタート地点。
歯が悪くなると、その先にある体全体にも悪い影響が広がる。
というわけです。
2. かむ力が弱くなるとどうなる?
「むし歯で痛い」「歯ぐきが痛い」という理由で、じゅうぶんにかめない子がいます。
かむ力が弱くなると、下のような問題が起きることがあります。
① 食べ物をよく消化できない
消化は口でスタートします。
よくかめないと、口の中で消化のスタートががうまくいきません。
そうすると、胃や腸に負担が大きくなり、栄養の吸収が悪くなることもあります。
② 脳の働きが弱くなる
かむとあごが動き、脳に刺激が伝わります。
この刺激が集中力、記憶力、やる気につながると言われています。
よくかむ子ほど、勉強の集中力が高いという研究もあります。
③ 顔の成長バランスが崩れることがある
あごの骨は、かむことで成長します。
よくかまないと、あごが十分に発達せず、歯並びにも影響します。
3. むし歯のばい菌は、全身に悪さをすることがある
むし歯は「歯だけの病気」と思われがちですが、実はそうではありません。
むし歯が進むと、歯の神経にまでばい菌が入り込み、歯の根の先にまで広がることがあります。
そのばい菌が血液に乗って体の中をめぐると、熱が出たり、体がだるくなったりすることもあります。
もちろん、これはとても重いケースですが、
“むし歯=口の中だけのこと”ではない。
体への悪影響が起きることがある。
というのは知っておいてほしい大切なポイントです。
4. 歯ぐきの病気は「全身の病気」と関係がある
大人がなる病気ですが、「歯周病(ししゅうびょう)」という歯ぐきの病気があります。
実は、小学生でも軽い歯肉炎(しにくえん)という歯ぐきの病気になることがよくあります。
そしてこの歯ぐきの病気「歯周病」は、
- 心臓の病気
- 糖尿病
- 赤ちゃんの早産
など、全身の病気と深い関わりがあることが研究でわかっています。
つまり、口の中にばい菌が多いと、唾液(だえき)や血液を通って、全身に広がることがあるということです。
この話を聞くと、「ただの歯ぐきの腫れだから放っておけばいいや」という考えは変わりますよね。
5. 口呼吸は健康を大きく左右する
口呼吸は、小学生の中でも増えている心配な習慣です。
口呼吸を続けると、
- 口が乾く
- ばい菌が増える
- 口臭を引き起こす
- むし歯になりやすい
- 歯ぐきが腫れやすい
- 風邪をひきやすくなる
- 歯並びに影響する
など、悪いことがたくさんあります。
逆に鼻呼吸は、空気をきれいにして肺に送り込めるため、体にとてもやさしい呼吸法です。
6. 歯の健康は、心の健康にもつながる
歯の健康は体だけでなく、心の健康にも影響します。
- 歯が痛いとイライラする
- うまく食べられなくて気持ちが沈む
- 口のにおいが気になって人と話すのが苦手になる
- 歯並びが気になって笑えなくなる
など、学校生活にも影響が出ることがあります。
逆に、歯が健康だと
- 食べるのが楽しい
- 学校でも笑顔で過ごせる
- 気持ちも前向きになる
など、心の健康もぐんと良くなります。
7. 今日からできる! 歯と体を守る5つの習慣
ここからは、幼児・小学生でもすぐに始められる予防習慣を紹介します。
① 毎日2回の歯みがきをていねいに!
特に夜の歯みがきはとても大事。
寝ている間は唾液が少なくなるため、むし歯菌がいちばん活発になる時間です。
夜は必ず、時間をかけてゆっくりみがくこと!
② フロスを毎日使おう
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは6〜7割しか落とせません。
フロスを使うと、汚れの落ち方がぐっと上がります。
コツを知れば、幼児や小学生でもできますよ。
③ よくかんで食べよう(目安:30回)
よくかむと、
- 消化がよくなる
- 脳が活性化
- あごが強くなる
- 食べすぎ防止
など、いいことだらけ!
④ おやつは時間を決める!
だらだら食べると、口の中がずっと酸性になり、むし歯ができやすくなります。
おやつは時間・量・種類を決める
これがとても大事です。
⑤ 1〜3ヶ月に1回は歯医者さんでチェック
お口の健康のために毎月歯科医院に行くことは大切です。
むし歯の早期発見・歯並びの成長チェック・歯ぐきの健康など、たくさんのことがわかります。
8. 歯が健康だと、体はもっと元気になれる!
歯は、健康の入り口です。
- 食べる
- かむ
- 会話する
- 成長する
- 体を守る
すべてに歯が関わっています。
だからこそ、日々のケアがとても大事なのです。
まとめ:歯は「健康のリーダー」! 大切にしよう
お口・歯と全身の健康のつながりについて、わかりやすくお話ししました。
歯が健康だと……
- よくかめる
- 栄養がしっかり吸収できる
- 脳が活性化
- 体の病気を防げる
- 心も元気になる
歯が悪くなると……
- 食べづらい
- ばい菌が体に広がることも
- 歯ぐきが腫れる
- 歯並びに影響
- 気持ちもネガティブになる
だから、
歯は一本一本があなたの体を守る大事な宝もの。
今日からの習慣で、その宝物を守っていきましょう!
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
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