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2025.12.06
【幼児・小学生の歯科知識】朝ごはんと歯の健康:元気な1日を始める習慣

「朝ごはんはしっかり食べましょう!」
学校の先生やおうちの人からもよく言われる言葉ですよね。
でも、「どうして朝ごはんが大切なの?」「歯の健康と関係あるの?」と疑問に思う人もいるはずです。
実は、朝ごはんは 体のエネルギーになるだけでなく、歯とお口の健康にも深い関係 があるのです。
このコラムでは、朝ごはんを食べることがどうして歯の健康につながるのか、そしてどんな朝ごはんが理想的なのかを分かりやすくお話ししていきます。
朝ごはんを食べると体が「スイッチON」になる!
人は寝ている間、体温が下がり、エネルギーをあまり使わない「休息モード」になります。
朝起きたときは、まだ頭も体も完全には起きていません。
そんなときに朝ごはんを食べると、
- 脳にエネルギーが届く
- 体温が上がる
- 血糖値が安定する
- 集中力が高まる
- イライラしづらくなる
といった良い変化が起こります。
そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。
▶ 朝ごはんは「唾液(だえき)」のスイッチにもなる!
噛むことで唾液がたっぷり出るようになり、その唾液が歯を守る重要な役割をしているのです。
朝ごはんを抜いてしまうと、唾液の量が増えず、口の中が乾いたままスタートしてしまいます。
これがむし歯リスクを高める原因になります。
朝ごはんとむし歯予防の深い関係
むし歯は、むし歯菌が出す「酸」が歯を溶かすことでできてしまう病気です。
でも、唾液にはなんと 酸を中和して歯を元の強い状態に戻す力(再石灰化) があります。
つまり…
朝ごはん → よく噛む → 唾液が出る → むし歯から歯を守る!
というしくみになっているのです。
もし朝ごはんを食べないと…
- 口の中が乾く
- むし歯菌が動きやすくなる
- 歯が酸に弱い状態が続く
- 口臭の原因にもなる
など、お口のトラブルが起きやすくなります。
「朝食を食べるだけでむし歯を予防できる」
これはとても手軽で、すぐに始められる健康習慣なのです。
3. 朝ごはんを食べないデメリットとは?
最近は、低学年でも「朝食を食べない」「お菓子で済ませる」という子が増えています。
でも、朝ごはんを抜くとこんなことが起こります。
① 集中力が続かない
脳はブドウ糖をエネルギーにして動きます。
朝ごはんがないと頭が働かず、授業に集中しづらくなります。
② お腹がすいて間食が増える
朝食抜き → お腹がすく → 家を出る前に甘い飲み物やお菓子
こうなるとむし歯のリスクが一気に上がります。
③ 体の成長のチャンスを逃す
子どもの体は成長するための材料を必要としています。
朝食を抜くと、体をつくるたんぱく質やカルシウムが足りなくなることも。
④ 朝の唾液量が増えない
特に重要なのがこれ。
唾液はお口のヒーロー。
唾液が少ない朝こそ、食べて噛んで唾液をたくさん出してあげることが大切です。
歯にやさしい朝ごはんのポイントは「噛むこと」
「朝ごはんを食べるだけでいい?」
もちろん食べることそのものは良いのですが、もっと歯に良くする方法があります。
それは “よく噛むメニュー” を選ぶこと。
<噛む力を育てる朝ごはん例>
- ごはん+焼き魚
- 味噌汁(具だくさん)
- りんごやみかん
- のり、納豆
- 野菜のおひたし
- 全粒粉パン
- きんぴらごぼう
こうした食品は「噛む」回数が自然に増えるため、唾液もたっぷり出ます。
<注意したい朝ごはん>
- 甘い菓子パン
- 甘いジュース
- チョコ入りシリアル
- スナック菓子を朝食代わりに食べる
- 甘いカフェラテやミルクティー
これらは歯に長く糖分が残り、むし歯リスクがあがります。
時間がない朝でもできる歯に優しい朝食アイデア
毎日しっかり作るのは大変ですよね。
でも、短時間でもできる工夫があります。
● 食べやすくて噛めるメニュー
- おにぎり
- ゆで卵
- バナナ+ヨーグルト
- 小さなおにぎりとみそ汁
- チーズ+クラッカー
ちょっとした組み合わせでも、ちゃんと朝ごはんになります。
● 水やお茶で始める
起きたばかりは口の中の菌が多いので、起きたらうがいやはみがきをする事をお勧めします。。
さらに、水かお茶を飲むことで流してリセットできます。
● ほんの少しでも“噛む食品”をプラス
- りんご一切れ
- ナッツ(小学生なら5〜6粒)
- 海苔
- 小さく切った野菜
これだけでも唾液はしっかり出ます。
6. 朝ごはんの後は必ず歯みがきをしよう
朝食とセットで大切なのが 朝の歯みがき。
寝ているあいだに増えた菌+食べ物の糖分が合わさると、
むし歯菌が大喜びしてしまいます。
朝食後に歯みがきすることで、
- 食べかすを取り除く
- 唾液の力をさらにサポート
- 口の中の菌が減る
- すっきりして気分もよくなる
というメリットがあります。
● 時間がない時は?
- せめて水で口をすすぐ
- 歯ブラシだけでも動かす
- 家を出る前に1分だけみがく
「やらないよりは、少しでもやる!」が大切です。
7. 朝ごはん習慣は未来の“強い歯”につながる
毎日の小さな習慣は、将来の歯の健康を大きく左右します。
朝ごはんをしっかり食べる → よく噛む → 唾液が出る → 歯が守られる
という流れが作れると、
- むし歯になりにくい
- 歯並びが整いやすい
- 集中力が上がる
- 食べ過ぎ防止にもなる
- 元気に過ごせる
など、良いことがたくさん!
特に子どもの歯は大人よりずっと弱く、むし歯にもなりやすいので、
朝ごはんの習慣がとても重要です。
8. まとめ:朝ごはんは歯と体の「スタートエンジン」
朝ごはんは
「食べて元気になるだけのもの」ではなく、
「歯を守り、むし歯を防ぐための大切な習慣」 です。
- 朝食は唾液を増やす
- むし歯リスクを減らす
- 噛む力を育てる
- 頭と体を元気にする
今日からできることはたくさんあります。
◎ 少しでも朝食を食べる
◎ よく噛む食品を入れる
◎ 朝食後は歯をみがく
あなたの歯を守るのは毎日の小さな積み重ねです。
朝ごはんで、1日を元気にスタートさせましょう! -
2025.12.04
【幼児・小学生の歯科知識】ダラダラ食べはむし歯を呼ぶ?〜お口の中の時間割を守ろう〜

「おかしを食べるのはダメじゃないけど、ダラダラ食べはやめようね。」
歯科医院でよく聞く言葉ですが、みなさんはその理由を知っていますか?
実は、むし歯は“食べる量”よりも 「食べる時間の長さ」 に強く関係しています。
同じ量のお菓子でも、5分で食べるのと30分かけて食べるのとでは、むし歯になるリスクが大きく変わるのです。
このコラムでは、
- ダラダラ食べがどうしてむし歯をつくるのか
- どんな食べ方がむし歯をふせぐのか
- 今日からできる簡単な工夫
をわかりやすく解説します。
ダラダラ食べってどんな食べ方?
まず「ダラダラ食べ」とは、
長い時間ずっと食べ物や飲み物がお口の中にある状態のこと。
例えばこんな場面です。
- 宿題をしながらずっとお菓子をつまんでいる
- 遊びながらジュースをちょこちょこ飲む
- 休みの日にテレビを見ながら1時間かけておやつを食べる
- 水分がわりにスポーツドリンクをずっと飲んでいる
これらはすべて 「ダラダラ食べ」 にあてはまります。
「そんなに悪いの?」「量が少しだからいいでしょ?」
と思うかもしれませんが…
実は、ダラダラ食べこそむし歯の天敵なのです。
むし歯ができる仕組み:お口の中の“酸性の時間”がポイント
食べ物を食べると、お口の中の細菌(むし歯菌)が糖を食べて酸を出します。
その酸によって歯が溶けてしまう状態を 「脱灰(だっかい)」 といいます。
でも安心してください!
私たちには 唾液(だえき) という最強の味方がいて、酸を中和して歯の溶けてしまったところを元に戻します。これを 「再石灰化(さいせっかいか)」 と呼びます。
●むし歯ができる流れはこうです
- 食べる
- お口の中が酸性になる(歯が溶けやすい状態)
- 唾液が働き、中性に戻す(歯を修復)
普通はこのサイクルをくり返して問題ありません。
しかし――
ダラダラ食べはこの修復タイムがまったくやってこない!
食べている間はずっと酸性状態が続くため、歯が溶ける時間が長くなり、むし歯へ一直線というわけです。
量より「回数」や「時間」がむし歯リスクを決める
むし歯予防の専門家は
「おやつの量よりも、食べる回数と時間が大事」
とよく言います。
それはなぜか?
●例え話でくらべてみましょう
Aくん
→ チョコを5分でパッと食べる(量は多め)
→ すぐに酸性 → すぐに唾液で回復
Bさん
→ 同じチョコを30〜40分かけて少しずつ食べる(量は少なめ)
→ 酸性状態がずっと続く → 歯は溶けっぱなし
この場合、むし歯になりやすいのはBさんです。
量が少なくても、「だらだら、チョコチョコ食べる」ほうが危険なんです。
ジュースやスポドリは“飲むダラダラ食べ”になりやすい
実は、むし歯リスクが高いのはお菓子だけではありません。
特に注意が必要なのが次の飲み物です。
- ジュース
- スポーツドリンク
- 乳酸菌飲料
- 甘いコーヒーや紅茶
- 炭酸飲料
- エナジードリンク(子どもは×)
これらをチビチビ飲むと、
お口の中がずっと酸性のまま。
しかも、スポーツドリンクは“健康的な飲み物”に見えて油断しがちですが、実は酸性がとても強く、むし歯リスクも高いのが特徴です。
ダラダラ食べがクセになると起こること
ダラダラ食べは、むし歯以外にもさまざまな悪影響を与えます。
●起こりやすいトラブル
- 食欲のリズムがくずれる
- ご飯が食べられなくなる
- 早食い・偏食につながる
- 太りやすい体になる
- 歯みがきをしてもむし歯が防ぎにくい
特に「ご飯の前にお菓子をダラダラ食べて食欲がなくなる」というのは、小学生に多い悩みです。
むし歯を防ぐための“3つの食べ方ルール”
では、どうしたらダラダラ食べを防げるのでしょうか?
誰でもすぐできるルールを紹介します。
① おやつの時間を決める(1日1〜2回)
例えば・・・
- 15:00〜15:10の10分間だけ
- 夜ご飯の2時間前よりおやつは食べない
「時間を決める」だけで、むし歯リスクは大きく下がります。
② おやつは“食べる場所”を決める
- テレビの前
- 勉強机
- ベッド
これらで食べるとダラダラ食べしやすくなります。
おすすめは
「ダイニングで食べたら終わり」
というルールをつくること。
“ながら食べ”がなくなるので、食べすぎも防げます。
③ 飲み物は「水かお茶」を基本にする
ジュースを飲む時間が減るだけで、むし歯リスクはグッと減ります。
スポーツドリンクは「運動のあとだけ」にするなど、ルール化がおすすめです。
むし歯になりにくいおやつってあるの?
あります!
それは「むし歯になりにくい性質をもつおやつ」です。
●むし歯になりにくいおやつの例
- チーズ
- ナッツ(大人が一緒のとき)
- するめ
- ヨーグルト(砂糖が少ないもの)
- おにぎり
- 野菜スティック
- フルーツ
反対に、むし歯になりやすいのは
- キャラメル
- グミ
- クッキー
- ポテトチップス
- 甘いジュース
など、「歯にくっつく」「口に残る時間が長い」食べ物です。
甘いものが大好きでも大丈夫!大切なのは“食べ方”
歯科医院の多くの先生は「甘い物を禁止する」とは言いません。
甘いものは楽しみのひとつですし、完全にゼロにする必要はないからです。
大切なのは…
“お口の中を酸性にしている時間”を短くすること。
そのために
- 時間を決めて食べる
- 食べたら終わりにする
- ジュースをダラダラ飲まない
- 食後は歯みがきをする
これだけでむし歯は大きく防げます。
今日から使える「ダラダラ食べ防止テクニック」
- おやつは小皿に出す(袋のまま食べない)
- 食べる前に“タイマーを10〜15分にセット”
- おやつの後はキシリトールガムを噛む
- 家族と一緒に「おやつ時間」を決める
- 飲み物はお茶か水を基本にする
小学生でも今日から実践できる方法ばかりです。
まとめ:正しい食べ方でむし歯は防げる!
ダラダラ食べがむし歯を呼ぶ理由は、
お口の中が長い間酸性になり、歯が溶け続けてしまうから。
だからこそ――
- 時間を決めて食べる
- ジュースをチビチビ飲まない
- 食べた後は歯みがきをする
この3つを守るだけで、むし歯になるリスクは大きく減ります。
「食べ方」を少し変えるだけで、あなたの歯をずっと守ることができます。
歯みがきと同じくらい、食べ方の習慣はとても大切です。
今日から少しずつ始めてみましょう! -
2025.12.02
【幼児・小学生の歯科知識】よく噛むことの大切さ:噛む力は歯と体を育てる

「よく噛んで食べなさい」と大人に言われたことはありませんか?
でも、どうして“よく噛むこと”がそんなに大事なのか、ちゃんと説明できる人は意外と少ないかもしれません。
実は、噛むことは「歯を丈夫にする」だけでなく、「体を育てる」「脳を働かせる」「むし歯や肥満を防ぐ」など、たくさんの良いことがあります。
このコラムでは、小学生のみなさんにもわかるように、“よく噛むことがどうして必要なのか”をていねいに説明します。食べるときの小さな習慣を変えるだけで、歯と体の健康がぐんと良くなりますよ。
噛むってどんな働きをしているの?
私たちは食べ物を食べるとき、前歯でかみ切り、奥歯ですりつぶし、細かくして飲みこみます。
つまり、噛むことは「食べ物を飲み込める状態にする作業」です。
でも、噛む力の本当の働きはそれだけではありません。
●噛む力の本当の仕事
- 食べ物を細かくして飲みこみやすくする
- 唾液(だえき)をたくさん出す
- 脳に刺激を送って学習や集中力を高める
- あごの骨の発達を助ける
- 歯ぐきや歯の周りの筋肉を鍛える
- 体が「満腹だ」と感じるスイッチを入れる
もしかすると「そんなに大事なの?」と思うかもしれませんね。でも、これらが不足するとむし歯や歯並びの乱れ、食べすぎ、集中力低下など、様々なトラブルの原因になります。
よく噛むと唾液がたくさん出る!むし歯予防に最強
噛むことでまず増えるのが 唾液(だえき)。
唾液は、歯と体を守る大切な液体です。口の外に出てしまうとただのよだれになってしまいます。
●唾液がしてくれるすごい仕事
- むし歯菌の出す酸を薄める
- 歯の表面から溶け出したミネラルを元に戻す(再石灰化)
- 食べかすを洗い流す
- 口の中の菌を減らす
- 口の中をうるおしてケガを防ぐ
- 口の中の傷を治す手伝いをする
よく噛む → 唾液が出る → 歯が守られる
という流れで、毎日の食事だけでむし歯予防ができてしまうのです。
早食いの人はむし歯が多いのも、この唾液の量が少ないことが原因の一つです。
よく噛むと脳まで元気!集中力アップの秘密
食べ物を噛むと、あごの筋肉が動きます。
すると、その刺激が脳に伝わり、脳が活性化します。
●噛むことが脳に与えるいい影響
- 集中力が上がる
- 記憶力が高まる
- イライラがおさまりやすい
- 朝の眠気が覚めやすくなる
テストの前にガムを噛むと集中力が上がるという研究もあります。
「脳を働かせたいときはしっかり噛む」
これは小学生でもできる、簡単で強力な方法です。
4. あごの発達と歯並びにも関係が!
昔よりも噛まなくてよい食べ物が増えたことで、子どものあごが小さくなり、歯並びが悪くなるケースが増えています。
●噛まないとどうなる?
- あごが十分に成長しない
- 歯が並ぶスペースが足りなくなる
- 歯並びがガタガタになる
- 噛み合わせがずれる
- むし歯になりやすい環境になる
よく噛むことは“自然な矯正治療”ともいえます。
毎日よく噛めば、歯が生えるスペースも確保され、歯並びがきれいになりやすいのです。
よく噛むと太りにくい体になる理由
食べすぎが気になる人にも、よく噛むことは効果的です。
●噛むと“満腹スイッチ”が入る
人の体は、噛む回数が増えると脳の「満腹中枢」が働き、「もうお腹いっぱい」と感じやすくなります。
反対に、早食いだと満腹のサインが出る前に食べ終わってしまい、食べすぎてしまいます。
●噛む回数が少ないと太りやすい理由
- 満腹になる前に食べ終わる
- 血糖値が急に上がる
- つい間食が増えてしまう
健康な体を保つためにも、噛む回数はとても大切なのです。
6. どれくらい噛めばいいの?今日からできる目安
理想は 一口30回 と言われますが、急に達成するのはむずかしいですよね。
まずは次のポイントから始めてみましょう。
●今日からできる“噛む”習慣
- 飲み込む前に「あと3回」噛む
- 納豆やご飯など、やわらかい物でも数回多く噛む
- 食材を大きめに切ってみる
- やわらかい物ばかりの食事を減らす
- 食べながらテレビやスマホを見ない(早食いの原因)
少し意識するだけでも、噛む回数は自然に増えていきます。
7. 噛む力を育てるおすすめ食品
毎日の食事に“噛みごたえのある食品”を少し加えると、噛む習慣が身につきます。
●噛む力を育てる食べ物
- 玄米ご飯・雑穀ご飯
- りんご・梨
- ごぼう・れんこん
- するめ
- ナッツ類(大人といっしょならOK)
- フランスパン
- きのこ類
ただし、硬すぎて歯を痛める可能性がある食材は、無理に食べないようにしましょう。
大切なのは「毎日少しずつ噛む習慣を増やす」ことです。
8. ガムは噛む練習に使えるの?
実は、ガムは“噛むトレーニング”にとても向いています。
ただし、キシリトール入りのガムを選ぶのが大事です。
●ガムのメリット
- 長い時間噛める
- 唾液が大量に出る
- キシリトールでむし歯予防になる
- 食べすぎ防止にも効果あり
食後5〜10分程度、キシリトールガムを噛むと、歯にも体にも良い習慣になります。
9. まとめ:噛むことは歯と体を育てる“成長スイッチ”
よく噛むことには、こんなに多くのメリットがあります。
- むし歯になりにくくなる
- あごが育ち、歯並びが良くなりやすい
- 脳が活性化して集中力アップ
- 食べすぎ防止で太りにくい
- 満腹感を得やすくなる
- 消化が良くなり体に負担が少ない
つまり、噛むこと=歯と体を育てる最強の習慣なのです。
今日からの食事で、ひと口多く噛むだけで、あなたの体はもっと健康になります。
歯みがきと同じくらい大切な「噛む力」。
毎日少しずつ練習して、丈夫な歯と強い体を育てていきましょう。 -
2025.11.30
【幼児・小学生の歯科知識】食べ物とむし歯:危険なのは甘いものだけじゃない!

「むし歯は甘いものを食べるとなる」と、だれもが一度は聞いたことがあると思います。たしかに、チョコレートやアメ、キャラメルなどの甘いお菓子はむし歯の代表的な原因の一つです。しかし、実はむし歯の原因になるのは甘いものだけではありません。甘くない食べ物でも、食べ方や口の中での変化によってはむし歯を大きく進めてしまうことがあります。
このコラムでは、むし歯がどうして起こるのか、どんな食べ物がむし歯のリスクを高めるのか、そして予防のために今日からできることを、小学生にもわかりやすい言葉でくわしく説明していきます。
■ むし歯はどうやってできるの? 基本のしくみを知ろう
むし歯ができるまでには、いくつかの条件が重なります。むし歯菌(ミュータンス菌)が歯の表面につき、食べたものにふくまれる糖をえさにして酸をつくります。この酸が歯をとかし、やがて穴があいてしまうのがむし歯です。
つまり、むし歯ができるためには次の3つが重なります。
- むし歯菌が口の中にいること
- むし歯菌のエサになる糖があること
- 酸にさらされる時間が長いこと
「むし歯菌がいるだけではむし歯にならない」「甘いものを食べても、すぐにむし歯になるわけではない」ということがポイントです。では、食べ物のどんな部分がこの条件と関係してくるのでしょうか?
■ 甘いものだけじゃない! むし歯リスクの高い食べ物とは?
● 甘くないのにむし歯を進める食べ物がある?
「甘くないから安心」と感じる食品の中にも、むし歯を進めるものがあります。例えば、ポテトチップスやスナック菓子。これらには砂糖が多くないので、甘いお菓子ほどむし歯のイメージはありません。しかし、でんぷんは口の中で分解されると糖に変わり、むし歯菌のエサになります。
さらに厄介なのは「歯にくっつきやすいこと」です。ポテトチップスの細かい粉、クラッカーのかけら、せんべいの破片などは、奥歯の溝に入り込みやすく、長い時間口に残ってしまいます。歯に長くくっつくということは、むし歯菌が酸を作り出す時間も長くなるということ。つまり甘くないスナックでも十分にむし歯の原因になるのです。
● 飲み物にも注意! 甘い・甘くないを超えたリスク
ジュースやスポーツドリンクがむし歯の原因になることは有名ですが、甘い飲み物だけが危険というわけではありません。
例えば、炭酸水(甘くないもの)や無糖の紅茶でも、酸性度が高い場合があります。 酸が強い飲み物は、それ自体が歯の表面を溶かす「酸蝕(さんしょく)」を引き起こし、むし歯菌の攻撃に弱い歯になってしまいます。
さらに、同じ飲み物でも「飲み方」によってリスクが大きく変わります。スポーツドリンクをちびちび飲む、ジュースを時間をかけて飲む、寝る前に甘い飲み物をとる――これらはすべて、口の中が酸性のまま長時間放置されるため、とても危険です。
● 食事の回数・タイミングがむし歯を左右する
むし歯リスクを高めるのは、食べ物そのものだけではありません。食べる頻度も強く影響します。
私たちが何かを食べるたびに、口の中は酸性になり、歯がとけやすい状態になります。
そして、歯の表面から大切なカルシウムが溶け出します。これを「脱灰(だっかい)」といいます。
しかし、時間がたてば唾液が酸を中和し、歯の表面を修復してくれます。これが「再石灰化」です。
ところが、お菓子をだらだら食べたり、すぐにまた何かを口にしたりしていると、再石灰化する時間がなくなり、脱灰ばかりが続いてしまいます。これこそがむし歯が進む大きな理由の一つです。
■ 意外な盲点! “ヘルシー”なのにむし歯の原因?
● ドライフルーツ
ヘルシーなイメージがありますが、実はむし歯リスクはかなり高めです。
理由は
- 糖が濃縮されている
- 歯にねばりつきやすい
- 口の中に長く残る
という条件がそろっているからです。
● フルーツジュース
天然の甘さでも糖は糖。しかも酸性度が高いものも多く、歯にはダブルで負担がかかります。
● ヨーグルトや乳酸菌飲料
加糖タイプには意外と多くの糖が含まれており、毎日続けるほどむし歯のリスクになります。飲むヨーグルトは特に注意。
■ むし歯を防ぐために、今日からできる食べ方の工夫
● 「だらだら食べ」をやめる
食べる回数を決め、時間を空けることで唾液が歯を守る力を取り戻せます。
特に学校から帰ってくるとすぐにお菓子を食べ、夕食までちょこちょこつまむ……という習慣は要注意です。
● 食後は水・お茶で口の中をリセット
糖が残りにくく、口の中が中和されやすくなります。
スポーツドリンクではなく「水分補給は基本的に水」に切り替えるのがおすすめ。
● アメやグミより、すぐに食べ終わるお菓子
アメ・キャラメル・グミは口の中に長く残りやすいので、むし歯リスクが高めです。食べるなら時間の短いものを選びましょう。
● 食後の歯みがきの習慣
むし歯菌のえさとなる糖や食べかすを残さないことが最強の予防です。
歯みがきがむずかしいときは、せめてうがいだけでもしましょう。
■ 親子で取り組める生活習慣のチェックリスト
- 朝・昼・夜の歯みがきができている
- お菓子を食べる時間を決めている
- 水分補給は水かお茶
- 夜寝る前に甘いものを口にしない
- スポーツドリンクのむし歯リスクを理解する
- 食べたあとに何か飲んで口をすすぐ
- 毎月、歯ブラシを交換する
これらができるようになると、むし歯のリスクは大きく下がります。
■ まとめ:食べ物の選び方で歯は守れる!
むし歯は甘いものだけで起こるわけではありません。
甘くない食べ物でも、歯にくっつきやすいもの、飲み方・食べ方によって糖が口に残るもの、酸が強い飲み物など、さまざまな“落とし穴”があります。
でも心配する必要はありません。食べ方の工夫・飲み方の選び方・歯みがきの継続で、むし歯はしっかり予防できます。今日からできることをひとつずつ実践して、健康で丈夫な歯を育てていきましょう。
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2025.11.28
【幼児・小学生の歯科知識】 歯ブラシの選び方と交換のタイミング

歯みがきは毎日しているのに、「歯ブラシはなんでもいい」と思っていませんか? けれど、歯ブラシはむし歯予防にとても大切な道具であり、種類によって磨きやすさや効果が大きく変わります。サイズ、毛のかたさ、持ちやすさなど、ひとつひとつに意味があります。
また、どんなに良い歯ブラシでも、長く使えば毛先が開いてしまい、みがく力が大きく落ちてしまいます。歯ブラシには “交換のタイミング” があり、それを守らないと、きちんと磨いているつもりでも汚れが落ちにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症の原因になることもあります。
今回のコラムでは、小学生でも自分に合った歯ブラシを選べるように、歯ブラシの特徴や選び方、交換の目安などをくわしく解説していきます。
1. 歯ブラシってどれも同じじゃないの?
ドラッグストアに行くと、歯ブラシがたくさん並んでいますよね。
- 色の違い
- 毛のかたさ
- 毛先の形
- ヘッドのサイズ
- 持ち手の太さや形
たくさんあって迷いますが、「どれでもいいや」で選ぶと、あなたの歯やお口に合わないものを使ってしまい、うまく磨けないことがあります。
歯ブラシは、歯1本1本の表面にあるプラーク(細菌のかたまり)を落とすための道具です。だから、大きすぎたり固すぎたりすると、しっかり当てられなかったり、反対に歯ぐきを傷つけたりすることがあります。
正しい歯ブラシを選ぶことは、むし歯予防の“第一歩”なのです。
2. 歯ブラシ選びのポイント① ヘッドの大きさ
「ヘッド」とは、毛がついている部分です。
●ポイントは「小さめ」を選ぶこと
小学生の場合、ヘッドは小さめのサイズがベストです。
理由は2つ。
- 小さいヘッドの方が、奥歯の奥まで届く
- 歯と歯の間や、歯ぐきとの境目の細かいところを磨きやすい
大きなヘッドだと、口の奥でつっかえてしまい、十分に動かせません。
とくに、6歳臼歯が生えたばかりだと奥に位置するため、小さめヘッドでないとしっかり磨けません。
3. 歯ブラシ選びのポイント② 毛のかたさ
歯ブラシの毛には3種類があります。
- やわらかめ
- ふつう
- かため
小学生におすすめな適切な硬さがあります。
●なぜ「かため」はダメ?
毛がかたすぎると、歯ぐきを傷つけたり、歯の表面を削ってしまうことがあります。
歯ぐきが痛いからとブラッシングが雑になってしまったり、磨く時間が短くなることもあります。
「やわらかめ」はやさしく磨けますが、汚れを落とすには時間をかける必要があります。
4. 歯ブラシ選びのポイント③ 毛の形
毛先の形にも種類があります。
- フラットタイプ(全て同じ長さ)
- 段差タイプ(長さが違う)
- 細い極細毛タイプ
●小学生向きは?
基本はフラットタイプが使いやすくておすすめです。
段差タイプは、力の加減が難しいことがあります。極細毛はうまく使うことが難しすぎて、歯の面が十分に磨けません。
小学生には、まずフラットタイプで正しい磨き方を身につけるのが良いとされています。
5. 歯ブラシ選びのポイント④ 持ち手の形
持ち手は太めが扱いやすいため、小学生には少し太いグリップタイプが向いています。
持ち手が細すぎると、上手にコントロールできずにうまくみがけません。
パームグリップ・サムグリップ・ペングリップで持ちやすいものを選ぶと、正しい力で磨きやすくなります。
6. 電動歯ブラシは使ってもいいの?
最近では子ども向け電動歯ブラシも増えています。
●メリット
- 動かす手間が少なくて楽
- 子どもが楽しんで磨ける場合もある
●注意点
- 電動ブラシが歯をキレイにしてくれるわけではありません。電動ブラシを扱う人の技術によってキレイにできることを理解してください
- 正しい使い方を知らないと磨き残しが出やすい
- ゴシゴシ動かしてしまうと傷をつけてしまう
- 小さい子には扱いが難しい
7. 歯ブラシの交換のタイミング
「まだ使える」「見た目は汚れていない」
――そう思って何か月も同じ歯ブラシを使っていませんか?
実は、歯ブラシは 1か月に1回の交換 が理想です。
●理由① 毛先が開くと汚れが落ちにくい
毛先が広がった歯ブラシは、歯の表面にしっかり当たりません。
見た目ではわかりにくくても、知らないうちに清掃力が落ちています。
●理由② 細菌が増えて不衛生
毎日使う歯ブラシには水分が残り、細菌が繁殖しやすくなります。
長く使うことは、むし歯リスクを高める原因にもなります。
●理由③ 力が強い子はすぐ広がる
毛先が1週間で開く子は、力の入れすぎ。
年齢に応じた持ち方で持ち、的確な力でこする練習をするとよくなります。
8. 歯ブラシ交換のチェックポイント
以下のどれかが当てはまったら交換しましょう。
- 毛先が左右に広がっている
- 毛が曲がっている
- 毛の色が変わってきた
- 1か月以上使っている
- 毛先が歯ぐきをチクチク刺すように感じる
歯ブラシは消耗品です。
むし歯を予防するためには、早め早めの交換が大事です。
9. 自分専用の歯ブラシを持とう
家族の歯ブラシが混ざっていると、間違えて使ってしまいがちです。菌をうつす原因にもなります。
- 色を変える
- 名前シールを貼る
- コップを分ける
などして、自分の歯ブラシがすぐにわかるようにしておくと衛生的で安心です。
10. 歯ブラシだけでなくフロスも使おう
歯ブラシだけで全てのプラークが落とせるわけではありません。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落とせないのです。
デンタルフロスを一緒に使うことで、むし歯予防の効果はぐっと高まります。
子どもの指でも使いやすい「Y字型ホルダーフロス」がおすすめです。
11. まとめ
歯ブラシは、ただの道具ではなく“むし歯予防の武器”。
選ぶポイントや交換時期を知っておくことで、歯みがきの効果はぐんと上がります。
小学生向けのポイントまとめ
- ヘッドは小さめ
- 毛のかたさはふつう
- 毛先はフラットタイプが基本
- グリップは持ちやすいもの
- 電動歯ブラシは使い方が難しすぎます
- 歯ブラシは1か月で交換する
- 汚れを落とすにはデンタルフロスも併用する
これらを守ると、あなたの歯はずっと健康でいられます。
歯ブラシの選び方ひとつで、むし歯のなりやすさは大きく変わるのです。
明日の歯みがきから、ぜひ意識してみてくださいね。
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
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