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【幼児・小学生の歯科知識19/29】 指しゃぶり・おしゃぶりの影響と卒業のコツ

【幼児・小学生の歯科知識19/29】 指しゃぶり・おしゃぶりの影響と卒業のコツ






今日は「指しゃぶり」や「おしゃぶり」についてのお話です。




赤ちゃんのころは誰でもやっていた“安心のしるし”のような習慣。
でも、歯が生えそろい、あごがどんどん成長する小学生の時期になると、
実は 歯並びやかみ合わせに大きく影響するクセ に変わっていきます。




とはいえ、指しゃぶりやおしゃぶりは
「やめなさい!」と言って急にやめられるものではありません。
やめられないのには理由があり、やめるためにも“コツ”があります。




このコラムでは、




  • なぜ指しゃぶり・おしゃぶりをしたくなるの?
  • いつまで続くと歯並びに影響する?
  • どんな歯並びのトラブルが起きるの?
  • やめるためのステップ
  • 家庭でできるサポート
  • 歯医者さんでできること



などを、小学生でも理解しやすく役立つ形でくわしく説明します。









1. 指しゃぶり・おしゃぶりはどうして起こる?




まず、なぜ子どもは指しゃぶりやおしゃぶりをするのでしょう?









① 安心するため




赤ちゃんは、指やおしゃぶりを吸うことで
安心したり、気持ちを落ちつかせたりすることができます。




眠る前や不安なときに吸うことで心が安定することも多いです。









② 吸う動きは本能(先天的な習慣)




赤ちゃんは、生まれつき「吸う」動きが得意です。
母乳やミルクを飲むために必要な本能なので、自然な行動といえます。









③ 手が自由に動くようになると楽しくなる




成長とともに手を口に持っていく動きが増えます。
「この指を吸うと落ち着く」「気持ちいい」という感覚が定着しやすいのです。









④ 習慣として残ることも




2~3歳ごろに自然と減っていきますが、
眠る前、退屈なとき、緊張しているときなどに習慣として残る場合もあります。









指しゃぶりとおしゃぶりは悪いことではなく、
成長の過程で自然に出てくる行動です。
ただ、ある時期をすぎても続くと、歯並びに影響が出てしまいます。









2. いつまで続くと歯並びに影響するの?




指しゃぶり・おしゃぶりが問題になるのは、




“4歳をすぎても続いているとき”




と言われています。




なぜ4歳がポイントなのでしょう?









理由① あごの成長が本格的に始まる時期だから




4〜6歳は、あごが強く成長し、
永久歯が生えるスペースができ始める重要な時期です。




この時期に指やおしゃぶりで前歯を押す力がかかると、
歯の向き・あごの形に変化が出やすくなります。









理由② 永久歯の準備が始まるから




前歯の永久歯は、5~7歳で生え始めます。
そのため、4歳以降のクセが永久歯の生え方に影響しやすくなります。









つまり、4歳までに自然に減っていくことが理想ですが、
小学生でも癖が残っている場合は、
ゆっくりと卒業するためのサポートが必要です。









3. 指しゃぶり・おしゃぶりが歯並びに与える影響




ここでは、クセが続いた場合にどんな影響があるかを説明します。









① 出っ歯(上の前歯が前に出る)




指やおしゃぶりで前歯が押されると、
上の前歯が前に出た状態になります。




影響




  • 前歯で食べ物をかみ切りにくい
  • 口が閉じにくい
  • 見た目が気になることもある








② 開咬(前歯がかみ合わなくなる)




前歯部分にスキマができ、
上下の前歯が全く当たらなくなる状態です。




影響




  • 食べ物が前歯でかみ切れない
  • 発音がしにくくなる
  • 舌を噛みやすい



開咬は、指しゃぶりの代表的な影響のひとつです。









③ 上あごが狭くなる




指の力が長く加わることで、
上あごが左右に狭くなってしまうことがあります。




影響




  • 歯が並びきれずガタガタになる
  • クロスバイト(左右の咬み合わせが反対)になる
  • 鼻呼吸がしにくくなる








④ 口呼吸がクセになる




指しゃぶりが続くと、唇が開きがちな状態になり、
口呼吸のクセにつながります。




口呼吸は、むし歯や歯並びの悪化など、
多くのトラブルを引き起こす原因になります。









⑤ 舌の位置が下がる




吸うクセがあると、舌が常に下がったままになり、
上あごの骨が広がりにくい状態に。




その結果、歯が並ぶスペースが不足し、歯並びが乱れやすくなります。









4. 小学生でもできる!指しゃぶりを卒業する5つのステップ




急に「やめる!」のではなく、
段階をふんで進めるととても成功しやすくなります。




ここでは、小学生も取り組める方法を紹介します。









ステップ① 自分のクセを知る




まずは、
「いつ指をしゃぶってしまうのか?」
「どんな気持ちのときにやってしまうのか?」
を知ることが大切です。




たとえば、




  • 寝る前
  • 退屈なとき
  • 不安なとき
  • テレビを見るとき



多くの子が「眠る前」にしてしまいます。









ステップ② 指しゃぶりの代わりを作る




急に「ダメ!」と言うと反発が出たり、不安が強くなります。
そこで、指の代わりになる「安心アイテム」を用意します。




  • 柔らかいタオル
  • 小さめのぬいぐるみ
  • アロマの香り(子ども用)
  • 落ち着く音楽
  • ホットパック(あたたかい抱きまくらなど)



指の代わりに“安心できるもの”を見つけると卒業しやすくなります。









ステップ③ 寝る前のルール作り




眠る前は指しゃぶりが出やすい時間。
ここが一番の勝負どころです!




対策例




  • 手をにぎる遊びをする
  • 寝る前にハンドクリームを塗ってもらう
  • 絵本を読んでもらいながら手を握る
  • 手を布団の上に置く習慣をつける
  • 手袋をしてみる



“眠る前の安心”を作ることがポイントです。









ステップ④ 家族の励ましで成功率アップ!




叱るより、
できた日をほめる方が何倍も効果的です。




カレンダーに「できた日」に◎をつけるのも人気の方法。




連続でできたらちょっとしたごほうびを用意するなど、
「楽しく続けられる工夫」が大切です。









ステップ⑤ 難しい場合は歯医者さんで相談




クセが強いときは、
歯医者さんで専門のアドバイスを受けられます。




子供にとって、専門家からのアドバイスは心に響く場合もあります。




  • 舌のトレーニング(当院ではやっていませんが)
  • あごの成長チェック
  • やめるための指導
  • 必要に応じた装置の改善案



専門家に相談することで、無理なく卒業できる子がいます。









5.おしゃぶり卒業のコツ(乳児〜幼児の兄弟がいる家庭向け)




おしゃぶりの場合は「家族の協力」がとても大切です。




① 使う時間を決める




「眠るときだけ」「外出中は使わない」などルール化。




② 段階的に減らす




急にやめるより、
使う時間を短くしていく方が成功しやすいです。




③ “おしゃぶり卒業イベント”をする




おしゃぶりを“バイバイ”する日のイベントを作るのも効果的。




  • おしゃぶり卒業式
  • おしゃぶりを風船につけて空に(屋内の飾りとして)
  • “ありがとうカード”をつくる



卒業が前向きな思い出になります。




④ 夜泣きが続く場合は無理をしない




ストレスが増えると逆効果。
無理せずゆっくり進めることが大切です。




6. 歯医者さんでできるサポート




歯医者さんでは、
ただ「やめましょう」と言うだけではなく、
専門的なサポートがあります。









① 歯並びのチェック




指しゃぶりによって
出っ歯・開咬・上あごの狭まりが起きていないかを確認します。









② 舌や唇のクセの改善(MFT)




舌の位置、飲み込み方、口の動かし方を
楽しくトレーニングする「筋機能療法」を行います。









③ 成長に合わせた治療の提案




必要があれば、成長を助ける治療(咬合誘導)を提案することも。









④ 成功するための家庭アドバイス




生活の中でクセが出にくい環境作りや、
励まし方のアドバイスなども教えてくれます。









まとめ:ゆっくり、やさしく卒業をめざそう




指しゃぶり・おしゃぶりは、
赤ちゃんのころの“安心のサイン”でした。




でも、小学生は「歯並びを守るための大事なステップ」の時期です。









★ 今日からできるポイント ★




  • 自分のクセのタイミングを知る
  • 指の代わりになるアイテムを用意
  • 寝る前の安心時間を作る
  • できた日をしっかりほめる
  • 必要なら歯医者さんに相談








指しゃぶりの卒業は、誰かに叱られるためのものではなく、
“自分の歯を大切にするためのチャレンジ”です。




頑張った分だけ、
きれいな歯並びと健康な笑顔が必ず返ってきます。




応援しています!