【中高生歯科予防コラム10/40】口呼吸・ 授業中のポカン口が口臭とむし歯を招く
~気づいて!その「無意識の習慣」があなたの魅力を半減させている~

はじめに:教室で起きている「静かなるトラブル」
先生の話を聞いているとき、集中してノートを取っているとき、友達とメッセージをやり取りしているとき。 ふと、自分の口元に意識を向けてみてください。
あなたの口は、ポカンと開いていませんか?
「ちょっと疲れているだけ」「鼻が詰まっているから仕方ない」 そう軽く考えている、この無意識の「口呼吸」の習慣が、実はあなたの「清潔感」「健康」「学力」、そして「将来の顔立ち」にまで、深刻な悪影響を及ぼしているのです。
特に中高生は、アレルギーや鼻炎、習慣、そして集中による「ポカン口」になりやすく、その結果、口の中が極度に乾燥する「ドライマウス」状態に陥りがちです。
このコラムでは、授業中のポカン口がなぜ最悪の習慣なのか、それが口臭やむし歯、そして顔の成長にまでどう影響するのかを、科学的な視点から徹底解説します。そして、今日から実践できる「鼻呼吸への切り替え戦略」を伝授します。
気づいていないだけで、あなたの魅力を半減させている「静かなるトラブル」の正体を知り、最高の自分を目指しましょう。
口呼吸が引き起こす「口内環境の砂漠化」
1. 唾液は天然の万能薬
歯の健康、そして口臭予防の鍵を握るのは、やはり唾液です。唾液は、単なる水分ではありません。
- 洗浄作用: 食べかすやプラークを洗い流す。
- 中和作用: むし歯菌が出す「酸」を中和し、口内をpH7.0(中性)に戻す。
- 再石灰化作用: 溶け出した歯の成分を修復する。
- 抗菌作用: 細菌の増殖を抑える。
唾液は、あなたの口の中の「天然の万能薬」なのです。
2. 口呼吸による「ドライマウス」の恐怖
口呼吸を続けると、外の空気が口の中を通り抜け、唾液が乾いてなくなってしまいます。これにより、口の中が乾燥した状態、すなわち「ドライマウス(口腔乾燥症)」になります。
- 万能薬としての働きの停止: ドライマウスになると、上記のような唾液の全ての働きがストップします。
- 砂漠化: 口の中が砂漠のように乾燥し、細菌が猛烈に増殖しやすい、最悪の環境になってしまいます。
口呼吸が続くと、口内の防御システムが完全に停止し、むし歯菌や口臭菌に対して「無防備な状態」を作り出しているのです。
口呼吸が招く「清潔感崩壊」の二大悪
ドライマウス状態になると、特に中高生が気にする「口臭」と「むし歯」のリスクが急激に跳ね上がります。
1. 悪臭の元「酸素嫌いな細菌」の爆発的増殖
口臭の主な原因は、口内の細菌がタンパク質などを分解する際に発生させる揮発性硫黄化合物(VSC)です。
- 口呼吸と酸素: 口臭の原因菌の多くは「酸素嫌いの菌(嫌気性菌)」です。
- 唾液の役割: 唾液には酸素が多く含まれており、これらの嫌気性菌の増殖を抑える役割があります。
- 口臭のメカニズム: 口呼吸で唾液が乾燥すると、口内の酸素濃度が下がり、嫌気性菌の増殖が止まらなくなります。
夜寝ている間に口呼吸をすると、朝起きたときの「ネバネバした不快感」と「強烈な口臭」につながります。授業中もポカン口が続けば、常に口臭が発生しやすい状態になってしまいます。
2. むし歯・歯肉炎の加速悪化
ドライマウスは、歯への攻撃速度を急加速させます。
- 中和力の喪失: 唾液の中和作用が働かないため、飲食物に含まれる酸や、むし歯菌が出す酸が長時間、歯の表面に残り続けます。
- 歯ぐきの炎症: 歯ぐきの周りに細菌が増殖しやすくなり、歯ぐきが赤く腫れる「思春期性歯肉炎」を悪化させます。腫れた歯ぐきから血や膿が出始めると、さらに口臭の原因になります。
- 歯の根元のむし歯: 特に前歯など、口呼吸で乾燥しやすい歯の根元付近は、乾燥による抵抗力の低下で、むし歯が急速に進行しやすくなります。
美容・学力・成長への隠れた悪影響=口呼吸の悪影響の確認
口呼吸の悪影響は、口の中だけに留まりません。中高生の皆さんの将来的な美しさ、そして勉強の効率にまで関わってきます。
1. 顔つきが変わる「アデノイド顔貌」のリスク
中高生の時期は、顔の骨格が完成に向かう大切な時期です。この時期の口呼吸は、顔の成長に影響を与えることが指摘されています。
- 顎の成長の抑制: 鼻呼吸では、舌が上顎に接触することで上顎骨を広げる力が働きますが、口呼吸だと舌が下がり(低位舌)、この力が失われます。
- 顔の歪み: 上顎が十分に発達しないことで、顔全体が細長く、面長になりがちです。また、下顎が後退して二重顎のように見えたり、歯並びが悪くなったりします。
- ポカン顔: 常に口を開けていることで、口元の筋肉が衰え、無表情に見えたり、だらしなく見えたりする「ポカン顔」になってしまいます。
2. 学力に直結する酸素不足
口呼吸は、脳のパフォーマンスを低下させます。
- 酸素供給効率の低下: 鼻には、入ってくる空気をろ過し、温め、湿らせる機能があり、肺への酸素供給効率を高めます。口呼吸では、空気が直接、冷たく乾燥したまま入るため、効率が落ちます。
- 集中力の低下: 脳への酸素供給が不十分になることで、集中力や記憶力が低下し、授業やテストでのパフォーマンスに影響が出る可能性があります。
- 睡眠の質の低下: 口呼吸は睡眠時の無呼吸を引き起こしやすく、睡眠の質が低下します。これにより、日中の眠気やだるさが増し、勉強が手につかなくなる悪循環に陥ります。
3. 風邪やアレルギーのリスク増大
鼻毛や鼻腔粘膜は、空気中のウイルス、細菌、花粉などをキャッチする「天然の空気清浄機」の役割を果たしています。
口呼吸では、これらの防護機能を経由せずに、ウイルスや細菌が喉や肺に直行するため、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
口呼吸を治す!今日からできる「鼻呼吸戦略」
口呼吸は「癖」です。しかし、正しいトレーニングと意識を持つことで、必ず治すことができます。
1:舌の正しいポジションを意識する
口呼吸の原因の一つは、舌の位置が間違っていることです。舌は上顎にペタッと吸盤のように張り付いているのが正しい状態です。
- スポットポジション: 前歯のすぐ裏にある小さな膨らみ(=スポット)に舌の先端を触れさせ、舌全体を上顎に吸盤のように張り付けましょう。
- MFT(口腔筋機能療法): 舌を正しい位置に保つための専門的なトレーニングを歯科医院で指導しているところもあります。
2:授業中のポカン口防止トレーニング
授業中は最も口が開きやすい時間です。
- 意識的な「クチ閉じ」: 休憩中や休み時間に、鏡を見て口を閉じているときの顔をチェックする。意識して口を閉じ、鼻で息を吸うことを繰り返す。
- 「あいうべ」体操: 口を大きく「あ」「い」「う」「べ」と動かす体操を、休憩時間などに繰り返し行うことで、口周りの筋肉(=口輪筋)を鍛え、口が開きにくいようにします。この運動は、舌の位置を正し口するための舌の筋肉を鍛える効果もあります。
3:就寝時の口閉じテープ
寝ている間の無意識の口呼吸は、特に深刻なドライマウスを引き起こします。
- 活用: 薬局などで販売されている医療用の「口閉じテープ」を、口を閉じた状態で縦に貼って寝ます。
- 効果: これは強制的に鼻呼吸を促すトレーニングになり、睡眠中の口呼吸によるドライマウスと口臭の改善に大きな効果があります。
- 注意: 鼻が完全に詰まっている時などは説明書に従ってください。
4:根本的な原因の解決
アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻炎で本当に鼻が詰まっている場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、鼻の通りを良くする治療を行うことが、口呼吸改善の第一歩です。
清潔感は呼吸法で決まる
口呼吸を治し、鼻呼吸を習慣化することは、あなたの「最高のパフォーマンス」と「魅力的な容姿」を手に入れるための投資です。
1. 口臭の不安からの解放
鼻呼吸が習慣化し、唾液が潤沢に出るようになれば、口臭の原因菌は激減します。 あなたは口臭の不安から解放され、自信を持って友達や好きな人と会話ができるようになります。これは、中高生の皆さんの生活の質を大きく向上させます。
2. 矯正治療の効果アップ
もし歯並びの矯正治療をしている、あるいはこれから矯正を考えているなら、鼻呼吸は必須です。
- 後戻りの防止: 口呼吸は舌圧が弱く、矯正治療後の歯並びを乱す「後戻り」の大きな原因になります。
- 治療効果の安定: 鼻呼吸を習慣化することで、治療で整えた歯並びを安定させ、二度と歯列が乱れるのを防ぐことができます。
3. マスク時代の落とし穴
現代はマスク着用が習慣化していますが、マスクをすることで口周りの筋肉が緩み、口呼吸がさらに悪化しやすくなっているという歯科医師からの警鐘が出ています。
マスクの中でも、意識して口を閉じ、鼻で呼吸をするトレーニングを怠らないことが、今の時代の予防の鍵となります。
おわりに:最高の笑顔は「鼻呼吸」から始まる
あなたのポカンと開いた口元は、他人から見られています。そして、その習慣は、むし歯や口臭、風邪のリスクを高め、集中力を奪い、さらには顔つきまで変えてしまう力を持っています。
しかし、口呼吸は病気ではなく、「悪い癖」です。 「気づき」と「正しいトレーニング」で、必ず改善できます。
今日から、授業中、スマホを見ているとき、ふとした瞬間に、そっと口を閉じ、鼻で息を吸うことを意識してください。 「舌を上顎に吸いつける!」このシンプルな習慣が、あなたの口の健康、そして将来の美しい笑顔と顔立ちを守る最高の防御策となります。
さあ、今すぐ口を閉じて、鼻で深く呼吸しましょう。応援しています!
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
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