【中高生歯科予防コラム15/40】ワイヤー やマウスピースなど矯正方法いろいろ
~後悔しない選択を。君のライフスタイルにぴったりの矯正方法の見つけ方~

はじめに:矯正治療選び・矯正生活の決断
「歯並びを治したい!」と決心した後に、誰もがぶつかる壁。それが「どの方法で治すか」という問題です。
今の矯正治療は、「銀色のギラギラした装置」だけではありません。透明で目立たない「マウスピース」という選択肢もあります。(現在、原歯科医院ではやっていません)
しかし、ネットの情報を鵜呑みにして「目立たないからマウスピースにしよう!」と安易に決めてしまうことはできません。なぜなら、矯正装置はこれから数年間、あなたと一緒に授業を受け、部活で汗を流し、友達とお弁当を食べる「24時間」の相棒になるからです。専門家の診断で、決めてもらうことになります。
もし、あなたの性格や部活動の内容に合わない方法を選んでしまうと、矯正そのものがストレスになり、途中で挫折してしまう原因にもなりかねません。
このコラムでは、中高生のリアルな学校生活をシミュレーションしながら、「ワイヤー」と「マウスピース」の矯正方法について、歯科医学的な視点から徹底比較します。
ワイヤー矯正(表側・裏側)~「お任せ」で確実に進めたい派へ~
歯の一つひとつに「ブラケット」というボタンのようなものを貼り、そこにワイヤーを通して歯を動かす、最も歴史と実績のある方法です。
1. 学校生活でのメリット
- 「自己管理」が楽: 最大の利点は、装置が固定されていること。マウスピースのように「付け忘れた!」「外して失くした!」という心配がゼロです。勉強や部活に忙しく、ついついズボラになってしまう人には最適です。
- どんな歯並びにも対応: 非常に難しい噛み合わせや、大きく歯を動かす必要がある場合でも、ワイヤーは確実に仕事をこなしてくれます。もちろん、歯科医師の診断によります。
- 「カラーモジュール」で個性を出せる: 最近はワイヤーを留めるゴムに色をつけ、ファッションとして楽しむ中高生も増えています。矯正専門医では、カラフルなゴムを用意しているところもあります。
2. 学校生活でのデメリット(=苦労する点)
- 食後に歯と歯や器具の間につまる: ほうれん草、海苔、お肉の繊維……。これらが装置に挟まります。食後、鏡を見ずに友達と喋り出すのは少し勇気がいります。
- 痛みと口内炎: 調整した直後の数日間は、給食のパンすら硬く感じるなどの痛みが出ることがあります。また、装置が唇の裏に当たって口内炎ができやすい時期もあります。
- 見た目の主張: 白いブラケットを選べば目立ちにくくなりますが、やはり至近距離では分かります。「矯正してるんだね」と言われるのが苦手な人には少しハードルが高いかもしれません。
マウスピース矯正(インビザラインなど)
透明なマウスピースを1~2週間ごとに新しいものに交換していく治療法です。
1. 学校生活でのメリット
- 他の人に治療していることがわからない: 付けていることを忘れるほど透明です。集合写真や自撮りでも全く気になりません。多感な時期に「見た目」が変わらないのは、大きな安心材料です。
- 食事が今まで通り: 食べる時は外すので、何でも自由に食べられます。装置に物が詰まるストレスとも無縁です。
- 部活(スポーツ)で安全: 運動部の人にとって、ワイヤーは転倒時に口の中を切るリスクがありますが、マウスピースなら逆にマウスガードのような役割を果たし、口の内を守ってくれます。
2. 学校生活でのデメリット(=苦労する点)
- 1日の大半つけている: 食事と歯みがき以外、つまり授業中も休み時間も寝ている間も、1日の大半の時間に付けていなければなりません。「外せる=外してサボれる」ということ。自分の意志が弱いと、全く歯が動きません。
- 外食や買い食いが面倒: 友達と放課後にマックやタピオカに行こうとなった時、「外して、ケースに閉まって、食べた後に歯をみがいてからまた付ける」という手順が必要です。これが意外と面倒に感じる人もいるかもしれません。
- 喋りづらさ: 最初は「サ行」などが少し発音しにくくなります。英語のスピーチテストや合唱コンクールの前などは慣れが必要です。
【シーン別】どっちが快適?学園生活シミュレーション
あなたの日常に当てはめて、どちらがストレスが少ないか想像してみましょう。
シーンA:ランチタイム(お弁当・給食)
- ワイヤー: 食べた後、トイレで入念に歯ブラシと歯間ブラシを駆使する時間が必要です。
- マウスピース: 食べる前に外し、食べた後に磨いて装着。歯みがき自体は楽ですが、外す姿を人に見られたくない場合、場所選びに困ります。
シーンB:部活動
- 吹奏楽部: フルートやトランペットなど、マウスピースを使う楽器は、ワイヤーだと唇が痛むことがあります。マウスピース矯正の方が有利な場合が多いです。
- 激しいスポーツ(サッカー・バスケ): 接触が多いならマウスピースが安全。ワイヤーの場合は、上から保護用のワックスやスポーツ用マウスガードを重ねる工夫が必要です。
- 文化系部活: どちらでも大きな差はありませんが、発表会などで至近距離で人に見られることを嫌ならばマウスピースが人気です。
シーンC:テスト期間・受験勉強
- ワイヤー: 勉強に集中しすぎてケアを忘れても、装置が勝手に動かしてくれます。
- マウスピース: 夜更かしして勉強中、夜食をダラダラ食べてマウスピースを外したまま寝落ち……。これをやると数日分の遅れが出てしまいます。
後悔しないための自分への質問
どちらにするか迷ったら、以下の質問に正直に答えてみてください。
- 私は「コツコツ毎日」決まったルールを守れるタイプ?
- YESなら → マウスピースもOK!
- NO(三日坊主になりがち)なら → 絶対にワイヤーがおすすめ。
- 友達と「買い食い」や「お菓子交換」をするのが大好き?
- YESなら → 外す手間のないワイヤーが楽。
- NO(決まった時間に食べる)なら → マウスピース。
- 楽器(管楽器)を吹いたり、激しいスポーツをしている?
- YESなら → 歯科医に相談の上、マウスピースを検討。
- 「矯正してる?」と聞かれるのが、どうしても嫌?
- YESなら → マウスピース、または裏側ワイヤー。
歯科医から見た本当の判断基準
見た目や生活スタイルも大切ですが、最終的には「あなたの歯並びのタイプ」で決まります。
マウスピースは「歯を横に広げる」動きは得意ですが、「歯を根っこから平行に移動させる」動きや「大きくねじれた歯を直す」のはワイヤーの方が得意な場合があります。
「マウスピースがいい!」と決めていても、精密検査の結果「ワイヤーの方が仕上がりが綺麗になるよ」と言われたら、将来の美しさのためにプロの意見を優先することをお勧めします。
おわりに:君を輝かせる選択を
ワイヤーもマウスピースも、それぞれに青春の苦労と喜びがあります。
ワイヤー矯正をしてもらった人は、数年後、装置が外れた瞬間のツルツルした歯への感動は一生忘れられないものになるでしょう。 マウスピース矯正をした人は、周りに気づかれずに、いつの間にか横顔が綺麗になっていく魔法のような体験ができるはずです。
どちらを選んでも、共通して言えるのは中高生という今の時期に始めるのが、人生で最も効率が良いということ。
大人になってから「あの時やっておけばよかった」と後悔する人はたくさんいますが、中高生の時に矯正して後悔したという人には、私は会ったことがありません。
まずは、自分のライフスタイルを歯科医の先生に詳しく話してみてください。「放課後は毎日部活がある」「お弁当の後に歯をみがく時間が短い」といったリアルな声が、あなたにとって最高の矯正方法を選ぶ決め手になります。
数年後の自信に満ちた最高の笑顔のために。今日からその第一歩を検討してみませんか?
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
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