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【中高生歯科予防コラム4/40】10代で急増する「思春期性歯肉炎」の恐怖

【中高生歯科予防コラム4/40】10代で急増する「思春期性歯肉炎」の恐怖


~「口が臭い」「血が出る」そのサイン、放置すると一生後悔するかも~








むし歯は「痛い」けど、歯肉炎は「静かに忍び寄る」




「むし歯は痛いから歯医者に行く」。これは多くの人が持っている常識ですよね。 でも、実はあなたの口の中には、痛みを伴わずに、そして静かに、恐ろしい病気が進行している可能性があります。それが「歯肉炎」です。




「歯周病なんて、おじいちゃんおばあちゃんの病気でしょ?」 そう思っているあなた、それは大きな間違いです。 今、10代の中高生の間で「思春期性歯肉炎(ししゅんきせいしにくえん)」という病気が急増しているのを知っていますか?




  • 「歯みがきすると歯ぐきから血が出る」
  • 「最近、口がネバネバするし、口臭が気になる」
  • 「歯ぐきが赤く腫れている気がする」



もし、これらの症状に心当たりがあるなら、それは「思春期性歯肉炎」のサインかもしれません。 このコラムは、その正体と、放置することの恐ろしさ、そして今日からできる簡単な対策まで、あなたの口の健康を守るための必読ガイドです。









第1章:「思春期性歯肉炎」って一体何者?




1. 「歯周病」と「歯肉炎」の違い、わかる?




まず、基本から確認しましょう。 「歯周病」は、歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(=歯槽骨)まで破壊されてしまう重い病気です。一度溶けた骨は、基本的に元には戻りません。




そして、「歯肉炎」は、この歯周病の初期段階。 歯周病菌によって「歯ぐきだけ」が炎症を起こしている状態を指します。 この段階であれば、適切なケアで完全に元の健康な状態に戻せるのが特徴です。




2. なぜ「10代」で急増するのか?~ホルモンと細菌の危険な関係~




思春期性歯肉炎が10代に多いのには、明確な理由があります。




理由1:性ホルモンの影響 思春期は、性ホルモン(女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロン、男性ホルモンのテストステロンなど)の分泌が活発になる時期です。 実は、歯周病菌の中には、この性ホルモンを栄養源として大繁殖するタイプが存在します。特に「プレボテラ・インターメディア菌」という菌が有名です。 つまり、体が大人へと成長するにつれて、口の中では歯肉炎のリスクが高まるという、なんとも皮肉な状況が起こるのです。




理由2:ライフスタイルの変化 中高生は、小学生の頃と比べて生活リズムが大きく変わります。




  • 夜更かし: 受験勉強やスマホ、ゲームで寝不足になりがち。免疫力が低下し、細菌への抵抗力が落ちます。
  • 間食の増加: 塾の合間や部活後に、甘いものやジュース、エナジードリンクを摂る機会が増える。
  • 自己流ケア: 親からの指導が減り、適当な歯みがきで済ませてしまうことも。



これらが複合的に絡み合い、10代の歯ぐきは炎症を起こしやすいデリケートな状態になっているのです。









第2章:「思春期性歯肉炎」が引き起こす3つの恐怖




「別に痛くないし、放っておけば治るでしょ?」と思ったら大間違いです。 思春期性歯肉炎を放置すると、取り返しのつかない事態を招きます。




1:友達にも恋人にも嫌われる「口臭」




歯ぐきが炎症を起こすと、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」という溝が深くなります。 このポケットの中は、酸素が苦手な歯周病菌にとって最高の棲み家です。 細菌たちはそこで大繁殖し、タンパク質を分解して「揮発性硫黄化合物(VSC)」という強烈な悪臭ガスを発生させます。




この臭いは、生臭い、ドブのような臭い、卵が腐ったような臭いと表現され、市販のブレスケア用品ではごまかせません。 いくらイケメン・美少女でも、会話中に相手の顔が曇るような口臭を放っていれば、友達も減るし、恋愛も遠ざかります。これは、あなたの人生のチャンスを奪うほどの恐怖です。




2:見た目の「清潔感」を破壊する赤い歯ぐき




健康な歯茎は、薄いピンク色で引き締まってツヤツヤしています。 しかし、歯肉炎になると、歯ぐきは赤く腫れ上がり、ブヨブヨになります。




  • 笑顔が台無し: せっかく白い歯でも、その周りが真っ赤に腫れた歯ぐきでは、清潔感はゼロ。むしろ不潔な印象を与えます。
  • 出血: 歯みがき中はもちろん、硬いものを食べたり、何かの拍子に歯ぐきから血が出ることもあります。最悪の場合、会話中に血がにじんでくる、なんてこともありえます。
  • 歯ぐき下がり: 長期間炎症が続くと、歯茎が下がって歯が長く見えるようになります。一度下がった歯ぐきは、自然には戻りません。



3:将来「歯周病」になるリスクが爆増




最も恐ろしいのは、「歯肉炎を放置すると、そのまま本格的な歯周病へと進行する」ということです。 歯肉炎の段階で止められればセーフですが、一度歯周病になってしまうと、歯を支える骨が溶け始め、最終的な最終的な状態は歯が抜け落ちてしまいます。




  • 20代、30代で歯を失う: 「歯周病は高齢者の病気」というのは過去の話。歯に関心がないためにケア・健診を行ってこなかった人に発生する『若年性歯周病』という、10代から進行するタイプも存在します。
  • 全身の健康への影響: 歯周病菌は、口の中の血管から体内に侵入し、糖尿病や心臓病、脳卒中など、全身の様々な病気のリスクを高めることが分かっています。



「まだ若いから大丈夫」という油断が、将来のあなたの健康と笑顔を奪ってしまうかもしれないのです。









第3章:あなたのライフスタイルに潜む「歯肉炎」の原因




中高生にとって、歯肉炎を引き起こしやすい具体的な行動を見ていきましょう。




1. 「力任せのゴシゴシ磨き」と「サボり磨き」




どちらも歯ぐきを傷つけるか、汚れを放置するかの点でNGです。




  • 力任せ: 歯ブラシを強く握りしめ、ゴシゴシと力を入れて磨くと、歯ぐきに炎症がある場合、それが刺激となり、さらに歯ぐきを傷つけ、出血を助長します。
  • サボり: 適当に歯ブラシを口に入れるだけ。歯と歯茎の境目や、歯と歯の間など、汚れが溜まりやすい場所をキレイにできていない。これを続けるとあなたの口の中が歯周病菌の温床になります。



2. 「間食のダラダラ食い」と「口呼吸」




これらは歯肉炎だけでなく、むし歯や口臭の原因にもなります。




  • ダラダラ食い: 食事のたびに口の中は酸性になり、細菌が活性化します。ダラダラ食べ続けると、口の中が常に酸性になり、細菌にとって歯を脱灰させるチャンスが続きます。
  • 口呼吸: 常に口が開いていると、口の中が乾燥します。唾液には細菌を洗い流す作用がありますが、乾燥するとその作用が失われ、細菌が増殖しやすくなります。他にも、唾液の口の中を健康にする働きが発揮できない状態になってしまいます。



3. 「ストレス」と「睡眠不足」




思春期は、受験、部活、人間関係など、ストレスが多く、睡眠時間が短くなりがちです。




  • 免疫力の低下: ストレスや睡眠不足は、体の免疫力を低下させます。免疫力が落ちると、口の中にいる歯周病菌を抑え込む力が弱まり、炎症が起きやすくなります。
  • 歯ぎしり・食いしばり: ストレスがあると、寝ている間に無意識に歯ぎしりや食いしばりをする人がいます。これにより歯や歯ぐきに過度な負担がかかり、歯周病を悪化させる要因になります。








第4章:今日からできる!思春期性歯肉炎予防




今すぐ行動すれば、健康な歯を取り戻せます。




1:正しい歯みがき「3つのポイント」




これが基本中の基本です。




  1. 毛先を使う意識: 歯ブラシの毛先を、歯と歯ぐきの境目に優しく当てます。歯の面だけでなく、歯ぐきとの境目が重要です。
  2. 的確な大きさで動かす: 1~2本の歯に対して、小刻みに(5~10mm程度の幅で)10〜20回ほど動かします。決して口を閉じたままでゴシゴシと大きく動かさないでください。
  3. フロスは必須: 歯ブラシでは届かない歯と歯の間のプラークは、デンタルフロスでしか取れません。1日1回、寝る前だけでも必ず使いましょう。初めて使うと、臭いに驚くはずです。



2:フッ素入り歯みがきペーストの正しい使い方




フッ素はむし歯予防だけでなく、歯ぐきの炎症を抑える効果も期待できます。




  • 高濃度フッ素を選べ: 市販されている歯みがきペーストの中で、中高生は「フッ素濃度1450ppm」と記載されたものを選びましょう。
  • ゆすぎは軽く1回: 歯みがき後、フッ素を口の中に残すため、少量の水で1回だけ軽くゆすぐのが効果的です。しっかりとしたブクブクうがいはフッ素を洗い流してしまいます。



3:口呼吸をやめて鼻呼吸へ




意識するだけで口の中の環境は大きく変わります。




  • 意識的に口を閉じる: 授業中やスマホを見ている時など、気づいたら口を閉じ、舌を上あごにピタリと吸い付けた状態にする習慣をつけましょう。
  • 「あいうべ体操」: 口周りの筋肉を鍛える体操です。
    1. 「あー」と口を大きく開ける。
    2. 「いー」と口を横に大きく広げる。
    3. 「うー」と口をすぼめる。
    4. 「べー」と舌を思い切り下に突き出す。 これを各1秒ずつ、10回繰り返しましょう。毎日続けることで、自然と鼻呼吸になります。



4:疲れたら「うがい薬」も活用




歯ぐきが特に腫れていたり、口臭が気になる時の一時的な対策として、殺菌成分の入ったうがい薬を使うのも有効です。(デンタルリンスは、歯みがき前に使うものでうがい薬ではありません。) ただし、これはあくまで補助的なもの。根本治療は、歯みがきと歯科医院でのクリーニングです。









第5章:プロの手を借りて歯肉炎の恐怖から逃れよう




自分でできるケアには限界があります。専門家である歯科医師や歯科衛生士に頼るのが、最も確実で早い方法です。




1. 歯医者さんは「痛いところ」から「予防ケアの場所」へ




「歯医者=痛い治療」というイメージがあるかもしれませんが、歯肉炎の段階であれば、痛い治療はほとんどありません。 主な治療は、プロによる徹底的な「クリーニング」と「日々のセルフケア習うこと」です。




  • 超音波スケーラー: 歯石を効果的に除去。
  • ポリッシング: 歯の表面をツルツルにみがき上げ、汚れをつきにくくします。



プロに一度徹底的に汚れを取ってもらうと、歯茎の状態は驚くほど改善します。これを「リセット」の機会だと思ってください。




2. 定期健診は「歯ぐきの健康チェック」




1〜3ヶ月に一度の定期健康診断は、むし歯チェックだけでなく、歯ぐきの状態をチェックしてもらう絶好の機会です。 歯肉炎が進行していないか、磨き残しがないかなど、プロの目で確認してもらい、正しい歯みがき指導を受けましょう。




3. 親への相談:決して恥ずかしくない




「親に歯ぐきの出血や口臭の相談をするのは恥ずかしい…」と思うかもしれませんが、これはあなたの健康に関わる大切なことです。 思春期性歯肉炎は、親御さんも知らないことが多い病気かもしれません。 コラムの内容を見せて、「最近歯ぐきから血が出るんだけど、これってヤバいらしいから歯医者さんに行きたい」と正直に話してみましょう。









あなたの笑顔は「健康な口元」から




「むし歯はもうないから大丈夫」 そう思って、口元のケアを怠っていませんでしたか?




思春期性歯肉炎は、痛みがないからこそ、気づかないうちに進行し、あなたの口臭を悪化させ、歯ぐきを赤く腫れ上がらせ、見た目の清潔感を奪います。 そして、将来の歯周病リスクを飛躍的に高める、静かなる恐怖なのです。




このコラムを読んだあなたは、もうその恐怖に立ち向かう知識と方法を手に入れました。




今日から正しい歯みがきを実践し、口呼吸を直し、そして勇気を出して歯科医院の扉を叩いてみてください。 健康で引き締まったピンク色の歯ぐきは、あなたの笑顔を何倍も輝かせ、自信に満ちた未来を築くための、最高の土台になるはずです。




さあ、あなたの口元から、新しい自分を始めよう!