【幼児・小学生の歯科知識22/29】 歯ぐきが腫れたときにできること

ある日、鏡を見たら歯ぐきがぷくっとふくらんでいる。
ごはんを食べるとなんだかズキっとする。
歯みがきをすると血が出る……。
そんな歯ぐきのトラブルは、実は幼児や小学生にもよくあります。
「むし歯じゃないのに痛いのはどうして?」
「歯ぐきが腫れたらどうしたらいいの?」
このコラムでは、歯ぐきが腫れる理由や、家でできる対処法、そして歯医者さんに行くべきサインまで、誰でも理解できる言葉と例えを使ってていねいに解説します。
1. 歯ぐきが腫れるってどんな状態?
歯ぐき(歯肉しにく)は、歯をささえる大切な組織です。
柔らかくて血の流れが多く、ばい菌が入りやすい場所でもあります。
腫れる(はれる)というのは、
- 赤くなる
- ぷくっとふくらむ
- いつもより熱く感じる
- さわると痛い
などの変化が起きている状態です。
これは、体が「ばい菌と戦っている」サインともいえます。
かぜをひいたときにリンパが腫れたり、熱が出るのと同じです。
2. 小学生に多い“歯ぐきが腫れる”理由
歯ぐきが腫れる原因はいくつかあります。
ここでは、幼児や小学生によく見られる代表的なものを紹介します。
① 歯みがき不足による歯ぐきの炎症(歯肉炎)
一番多いのがこれです。
歯みがきのし残しが続くと、歯と歯ぐきの間にプラーク(ばい菌のかたまり)がたまり、炎症が起こります。
こんなサインに注意!
- 歯みがきで血が出る
- 歯ぐきが赤い
- 歯と歯の間の歯ぐきが丸くふくらんで見える
- 口の中がねばねばする
- 口臭がする
歯肉炎は早めに対処すれば治ることが多いですが、放っておくと悪化します。
② むし歯が進んで歯ぐきに炎症が広がっている
むし歯が深くなると、歯の神経にまでばい菌が広がり、根の先で膿(うみ)がたまって歯ぐきを押し上げることがあります。歯の根元当たりが、ぷくっと膨らんだりします。
歯ぐきだけでなく、歯そのものがじんわり痛むのも特徴です。
③ 食べ物が歯の間に挟まり炎症を起こす
パンのかけら、お肉、繊維の多い野菜などが強く挟まると、
歯ぐきが傷つき、そこから炎症が起こることがあります。
「昨日から同じ場所がズキズキする」というときは、フロスで取ると改善することが多いです。
④ 乳歯から永久歯に生えかわる時期の炎症
小学生はまさに生えかわりの真っ最中。
- 永久歯が生えてくるとき
- 乳歯がグラグラしているとき
に周囲の歯ぐきが腫れたり、軽く痛むことがあります。
これは体の自然な変化のひとつですが、むし歯や汚れがあると炎症が強くなります。
⑤ 歯をぶつけた後の炎症
体育や遊びでころんだとき、歯をぶつけると歯ぐきが腫れることがあります。
打撲(だぼく)により血流が増えるためで、数日で落ち着くこともありますが、
歯が動いている、色が変わった、痛むなどの場合は受診が必要です。
⑥ 歯並びが混みあって磨きにくい
歯がガタガタしている子は、汚れが残りやすく炎症が起きやすいです。
小学生は生えたての永久歯が大きいため、磨き残しが増えがちです。
3. 歯ぐきが腫れたときに家でできる応急処置
歯ぐきの腫れは、正しい対処をすれば悪化を防ぐことができます。
ただし、腫れが治まったからといって治ったわけではないことが多いので注意してください。
① まずは口の中をきれいにする(ぬるま湯うがい)
熱すぎる・冷たすぎる水は刺激になるのでNG。
ポイント
- ぬるま湯で軽くうがい
- しみる部分に水を強く当てない
- 食べかすをやさしく流すイメージで
② 歯の間の汚れをフロスでやさしく取る
挟まった食べ物が原因の場合、フロスで取るだけで痛みが改善することも。
ただし、強く押し込まないこと。
腫れた歯ぐきはとてもデリケートです。
③ ほほの外側から冷やす
冷たく冷やしたタオルを、ほほに軽く当てる程度でOK。
- 冷やしすぎない
- 長時間当てっぱなしにしない
腫れによる熱感(ねつっぽさ)が少し楽になります。
④ 痛みが強い場合は痛み止めを使うことも可
※ 子どもに使えない薬もあるため、自分で飲まないこと。
痛み止めは一時的に楽になるだけで、原因が治るわけではありません。
4. 絶対にやってはいけないこと
歯ぐきが腫れているときは、やってはいけないことがいくつかあります。
① 指や舌でさわること
気になってしまいますが、ばい菌が増えて悪化します。
② 温めること(熱いお風呂・カイロなど)
血流が増えて腫れが悪化する恐れがあります。
③ 自分で膿を出そうとする
絶対にNG!
ばい菌がさらに広がり、重症化することがあります。
④ 「なおるかも」と放置する
軽い腫れは一時的にひくことがありますが、原因が残ったままです。
必ず歯医者さんでチェックしてもらいましょう。
5. 歯医者さんに行くべきサイン
こんな症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- ほほがふくらむように腫れている
- 触らなくてもズキズキ痛む
- グラグラしていた乳歯付近が赤く腫れている
- 歯ぐきに白いできもの(膿)が見える
- 熱いものでも痛む
- 何日も同じ場所が痛む
- 痛み止めが効かない
6. 歯ぐきの腫れを防ぐために今日からできる習慣
腫れが起きにくい健康な歯ぐきを作るには、毎日の習慣が大切です。
① 歯ブラシとフロスのダブルケア
歯ブラシで落とせる汚れは60%
残りの40%は、歯と歯の間の汚れ(フロスの役割)です。
小学生でもできるので、習慣にするのが大切です。
② 歯みがきは“生えたての歯”を念入りに
生えたての永久歯はむし歯になりやすいだけでなく、歯ぐきとの境目に汚れがたまりやすいです。
③ ダラダラ食べをやめる
甘いものを長時間食べ続けると、細菌が増えやすく歯ぐきの炎症にもつながります。
④ 朝起きたらお口チェックを習慣に
- ねばねばしていないか
- 血が出る場所がないか
- 歯ぐきの色が赤くないか
日頃から気づける力が育ちます。
⑤ 1〜3か月に1度の定期健診へ
トラブルを小さいうちに見つけてもらえるので、
痛みも治療も軽くすみます。
7. 歯ぐきは“体のバロメーター”でもある
実は歯ぐきは、体の健康とも関わっています。
- かぜのとき腫れやすい
- 睡眠不足やストレスで炎症が強くなる
- 体調が悪いと出血しやすい
歯ぐきは、体調変化にも敏感に反応する場所なのです。
まとめ
- 歯ぐきが腫れるのは、ばい菌と戦っているサイン
- 小学生に多い原因は「磨き残し」「生えかわり」「食べ物の詰まり」
- ぬるま湯うがい・フロス・冷やすの3つが応急処置
- 触る・温める・潰すは絶対NG
- 強い痛みや大きな腫れはすぐ歯医者さんへ
- 予防の基本は「ていねいな歯みがき」と「定期健診」
歯ぐきの腫れは、正しく対処すれば怖くありません。
サインに早く気づいてあげることで、歯の未来は大きく変わります。
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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