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2018.02.03
歯はかたいの? やわらかいの?
私たちは、肉・魚・野菜などいろいろな食べ物を口からとって生きています。なんでも食べられるように、丈夫でいろんな形の歯を口の中に持っているからできることです。歯の表面のエナメル質という白い色をした組織は、体の中で最も硬い組織です。この硬いエナメル質が溶けてしまうのがむし歯です。むし歯菌の働きは、かなりのものです。
乳歯のむし歯の好発部位は、一番見やすい『上の前歯のど真ん中』です。2歳になるころから要チェック箇所です。そして、3歳頃にむし歯になりやすいところは、『乳臼歯の溝と間』です。就園前後で大きく生活環境が変わる時期であり、離乳食が完了し、幅広い食への興味が増すときであると同時に、おやつとして甘い食べ物を覚える時期でもあるからです。
でも実は・・・歯には”むし歯になりやすい時期”があるのを、ご存知ですか?永久歯=大人の歯のことを考えると、小学生の時期が特にむし歯になりやすいのです。はえたばかりの歯、はえたばかりの永久歯はとてもやわらかい状態です。まだ十分に硬くなっていないということです。
歯は、はえてから3年ほどの時間をかけて硬くなるのです。骨の中にあるときは、血液のミネラルによって硬くなり、歯がはえてからは、だ液の中のミネラルがくっついてもっと硬くなります。さらに、フッ化物を使うことによって効果的に硬くなるのです。
あらためて、歯がはえてから3年の間がむし歯予防の大切な時期ということです。
(注意)歯によって、はえる時期は異なりますのであしからず。
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2018.01.19
むし歯菌の感染
歯のない赤ちゃんは、ミュータンス菌を持っていません。歯に住みつくミュータンス菌ですから、歯があってこそ存在できるのです。生まれて数か月も経つと、下の前歯がはえてくることがほとんどです。ミュータンス菌は、たいていの場合、ご家族やほかの養育者からの感染です。
赤ちゃんの口の中に入ったミュータンス菌が、口の中に定着し、やがてプラークを形成し、むし歯を作る原因になってしまいます。だから、家族からの感染を防ぐために”使っている食器や箸などを共有しない” ”口の中で細かくしてから食べさせることをしない”などのことが考えられます。だけど、赤ちゃんにとってお母さんやお父さんが食べているものこそが、『美味しそうなもの』『安心』『安全』なものなのです。
もし身を乗り出してまで欲しがるのであれば、ぜひその気持ちを満たしてあげてほしいと思います。子どもにとって、美味しさは信号ではなく『感情』なのです。一緒に食べる喜びも、美味しさを引き立てるものだと思います。食事は、楽しく成長を感じる場所にしましょう。
ブラッシングや食習慣が適切であれば、
・食具は使い分けなくてもいい
・母子感染によってむし歯になるとは限らない
・子どもとのスキンシップを控える必要がない
・食品を冷やすために息を吹きかけてもいい
子どもの口の健康のために、お父さんお母さんの口の健康を保っていただければ問題ないのです。 -
2018.01.05
増える高齢者、大切な口の健康
日本は、世界的に最も早いスピードで、超高齢化社会を迎えているそうです。そして、歯科疾患実態調査によると、すべての年齢において保有している歯数が増加しているのです。
1989年から実施された『8020運動』の成果であり、歯科医院が増えたことで歯科に通いやすくなった、長期的な管理の必要性を認め『定期健診という受診』を求められるようになったということの結果です。そして、歯周病が全身に及ぼす影響が理解されるようになってきたのです。それらのことが理由で、セルフメインテナンスとプロフェッショナルメインテナンスを継続してくれているからなのです。
健康を守るために、歯周病むし歯問題を考えることは大切なことなのです。
口の健康が守られていると、
①人生と大きくかかわっている食事を楽しむことができます
②医科医療費が抑えられます
③認知症の発症リスクが抑えられます
④免疫力の低下した高齢者の方に多い誤えん性肺炎の予防になります
⑤命にかかわる心疾患、血液疾患など全身疾患の予防になります
インフルエンザの予防にも、口腔ケアが入っていることを考えると、口の重要性を改めて考えさせられます。
命の入り口、健康の入り口との理解がもっともっと深まればいいなあと思う毎日です。 -
2017.12.23
歯みがきしない?!
①フッ素利用で歯の質の強化
②ブラッシングなどでむし歯菌の減少
③甘い物のコントロール
これらのことと
④時間との関連
を考えてむし歯ができにくい生活習慣を確立すること。これが私たちの考えるむし歯予防です。全てのことを完璧にするのではなく、それぞれのことでできる範囲でやっていくことが大切なのです。
でも、先日 ”歯科医同士の夫婦の実験。4人の子どもに歯を磨かせなかった話”という本に興味を持ち読んでみました。
世界のいくつかの地域に住む伝統食を食べ続けている先住民族の『健康な歯』『大きなあご』を知り、夫婦で決意した実験だそうです。
子ども4人に歯みがきすることをやめ、毎日伝統食を食べることを決めたそうです。
この先生の決めた伝統食とは、ごはん、みそ汁、漬物を中心とし季節の野菜や魚介類を摂るという和食でした。飲み物は、水かお茶。砂糖、油は調理の過程でも控えめにして、おやつはメリハリをつけて与えたそうです。
そして、何を食べるか以上に「どう食べるか」を確立し、決められた食事時間とおやつ時間にしか食べ物を口にさせなかったそうです。
このルールを守り続けて、12歳まで歯みがきをしない生活で4人の子どもたちは、むし歯が1本もできなかったそうです。
「何を食べるか」と「どう食べるか」を理解してもらうことが不可欠とまとめられています。
この本の筆者の先生は、歯科医だからこそ大きな決断による実験ができたのだと思います。私は、むし歯が生活習慣病である証明事例をいただけました。
私たちが、ここまで徹底した習慣を貫くことはあまりにも難しいことだと思います。
むし歯予防をするいくつかの方法を知り、取り入れられることを選んで、選んだら実行することが大切だと考えます。
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2017.12.09
磨き残し対策にタフトブラシ
お口の中のケアは、歯を磨くことじゃなく、いかに口の中の細菌を減らせるかということが大切です。
より確実に細かいところまで、清掃道具を届かせることが必要なのです。優れた清掃性を持った『ワンタフトブラシ』がおすすめです。
タフトとは、”束 房”という意味です。ワンタフトブラシを、一本ブラシと表現する方も多いです。目的の場所に確実に毛先を届かせることができます。
プラークが残りがちなところにも、ピンポイントできれいにすることができる歯ブラシです。みがき癖がわかりやすい歯垢染色液を使うと、より的確に苦手なところがわかります。
・歯の根元
・歯と歯の間
・歯の周りのポケットの中
・冠などのかぶせものの根元と歯の境目
・プラスチックの詰め物の周囲
・歯ならびが悪いところ
・歯が混みあっているところ
・訳あって一本だけ孤立している歯
・一番奥の歯の奥側
・中途半端に萌えている親知らずや第一大臼歯、第二大臼歯
・歯肉が下がって見えてきた歯の根の股の部分
・歯周病が進んでガバガバした深いポケットの中
・矯正中のブラケットの周り
こうして言葉にすると、ブラッシングが難しいところのほとんどをカバーできる訳です。
何度もクリーニングを受けてくれている方が、急に磨き残しが減り、細菌のコントロールが上手になったというときのきっかけが『ワンタフトブラシ』の使用の開始だという方もいらっしゃいます。
細かい動きが得意という方におすすめです。
ねらいを定めた確実な清掃が、きれいにする効率をアップし、ブラッシングタイムの短縮にもなりますよ。
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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