【幼児・小学生の歯科知識20/29】 口呼吸と鼻呼吸:歯並びや健康への影響

みなさんはふだん、
鼻で呼吸していますか?
それとも口で呼吸している時間が多いでしょうか?
呼吸は体にとってとても大事な動きです。
でも実は、「どこで呼吸しているか」もすごく大切なんです。
口で呼吸する「口呼吸」は、
風邪をひきやすくなったり、
歯並びが悪くなりやすかったり、
集中しにくくなったり……
いろいろなトラブルの原因になることがあります。
逆に、当たり前に「鼻呼吸」が上手にできると、
健康だけでなく、きれいな歯並びと強いあごの成長にもつながります。
このコラムでは、
- 口呼吸と鼻呼吸の違い
- どうして口呼吸になるの?
- 歯並びに起こる影響
- 健康に起こる影響
- 今日からできる口呼吸チェックと改善方法
- 家族でできるサポート
- 歯医者さんでできること
を、できるようにやさしく解説します。
1. 鼻呼吸と口呼吸ってなに?
まずは、それぞれの呼吸の違いをかんたんに説明します。
① 鼻呼吸(はなこきゅう)
鼻で息を吸って、鼻から出す呼吸のこと。
本来、人間にとって“正しい呼吸”はこちらです。
鼻呼吸の良い点
- ほこりや菌を鼻がキャッチしてくれる
- 空気があたたまって体にやさしい
- 酸素をしっかり吸える
- 舌の位置が安定して、歯並びが整いやすい
- 風邪をひきにくくなる
体にとてもよい呼吸法です。
② 口呼吸(くちこきゅう)
口から息を吸って、口から出す呼吸のこと。
鼻がつまっているときに起こりやすいですが、
クセになってしまう子もいます。
口呼吸の心配な点
- 菌やウイルスが入りやすい
- 口の中が乾いてむし歯になりやすい
- 口臭がするようになる
- 歯並びを乱す原因になりやすい
- 集中力が落ちる場合がある
- いびきの原因になる
口呼吸が続くと、体にも歯にも影響が出やすくなります。
2. どうして口呼吸になるの?
口呼吸になってしまう原因はいくつかあります。
① 鼻がつまっている(アレルギー・風邪など)
花粉症やアレルギー性鼻炎、風邪の鼻づまりが続くと、
自然と口で呼吸するようになります。
② 姿勢が悪い(猫背)
猫背になると、あごが下がってしまい、
口があきやすくなります。
③ 舌の位置が低い(低位舌)
本来、舌は上あごの天井(口蓋)に吸いついている状態が正しい位置。
ここから落ちると口呼吸につながります。
④ 口を閉じる力が弱い(口輪筋が弱い)
口のまわりの筋肉が弱いと、
自然と口元がゆるんでしまいます。
⑤ 指しゃぶり・おしゃぶり・爪かみなどのクセ
これらのクセが長く続くと、
唇が閉じにくくなり、口呼吸の原因になります。
⑥ 習慣化してしまった
最初は鼻づまりが原因でも、
気づかないうちに「クセ」として残ってしまう子もいます。
3. 口呼吸が歯並びに与える7つの大きな影響
口呼吸は、歯並びやあごの成長にとても大きな影響が出ます。
① 上あごが細くなる
口が開いていると舌が下に下がり、
上あごが広がらず細くなってしまいます。
→ 結果:ガタガタの歯並びになりやすい
② 出っ歯になりやすい
口が開くことで、
上の前歯が前に押し出される形になり、
出っ歯になりやすくなります。
③ 前歯がかみ合わない(開咬)
口呼吸では、舌が前に出やすくなるため、
上下の前歯にすき間ができる “開咬” になることがあります。
④ 唇が閉じにくくなる
口が開いている状態が続くと、
唇を閉じる力(口輪筋)が弱くなります。
→ 結果:口呼吸がさらに悪化し、歯並びにも悪影響。
⑤ あごが後ろに下がる(下あごが小さく見える)
口呼吸になると首が前に出て、
あごが後ろに下がりがち。
→ 結果:
かみ合わせがズレたり、下あごの成長が十分できなくなったりする。
⑥ 噛む力が弱くなる
口呼吸の子は、食べるときに口が開きがち。
→ 噛む力が弱く、あごの成長も遅れやすい。
⑦ むし歯・歯ぐきの問題が出やすい
口の中が乾燥すると、
唾液(つば)の力が弱まり、むし歯ができやすくなります。
4. 口呼吸が全身の健康に与える影響
口呼吸は歯だけでなく、
体の健康にも影響します。
① 風邪をひきやすい
鼻は“天然のマスク”なので、菌やウイルスを止めてくれます。
口呼吸ではそのフィルターが使われません。
② 口が乾いてのどを痛めやすい
乾燥によって、のどが弱くなり、
気管支のトラブルが起こりやすくなります。
③ 集中力が下がることも
口呼吸は睡眠の質に影響し、
いびきや浅い眠りが起こりやすくなります。
学校でぼーっとしやすくなることも。
④ 姿勢が悪くなる(猫背)
口呼吸は前かがみの姿勢を引き起こし、
肩こり・疲れやすさにつながります。
5. 今日からできる!口呼吸かどうかのチェック
簡単なセルフチェックを紹介します。
★ 口呼吸チェックリスト
- 気づいたら口が開いている
- 寝るとき口が開いている/よだれが多い
- 朝起きると口・のどが乾いている
- 口を閉じると苦しい
- 唇を閉じるのがつらい
- 食べるときにクチャクチャ音がする
- 鼻づまりが多い
3つ以上当てはまる場合、
口呼吸の可能性が高いです。
6. 口呼吸を鼻呼吸に変えるためのトレーニング
ここからは、今日からできる改善方法を紹介します
① 口を閉じるトレーニング(口輪筋の強化)
やり方
- 唇を軽く閉じる
- そのまま10秒キープ
- 1日10回を目安に
シールやテープを貼る方法もありますが、
まずは自然に閉じる力をつけることが大事です。
② 鼻呼吸の練習
かんたん鼻呼吸体操
- 鼻でゆっくり吸う
- 鼻でゆっくり吐く
- 1日2〜3分続ける
③ 舌の位置を正しくするトレーニング(MFT)
本来、舌の正しい位置は、
上あごの前歯のすぐ後ろの“スポット”
そこに舌をつける練習を続けると、
鼻呼吸がしやすくなります。
④ よく噛む習慣をつける
一口30回を目指し、
噛む回数が増えると舌や口の筋肉が強くなります。
⑤ 姿勢を整える(猫背改善)
- 背すじを伸ばす
- 足を組まない
- スマホ・ゲームの時に前かがみにならない
姿勢の改善は、
口呼吸の改善にもつながります。
7. 家族でできるサポート
小学生が自分だけで習慣を変えるのは難しいもの。
家庭の協力がとても大切です。
① 鼻づまりがある場合は早めの受診
- 小児科
- 耳鼻科
どちらでも相談できます。
② 食事中の声かけ
「閉じて食べようね」
「ゆっくり噛もう」
とやさしく声をかけることで、変化が出やすくなります。
③ 寝る前の環境を整える
- 枕の高さ
- 部屋の温度
- 加湿
鼻が通りやすい状態にすることも大切です。
④ できた日をしっかりほめる
「今日は口がちゃんと閉じてたね!」
「鼻で呼吸できてたね!」
成功をほめることで習慣化しやすくなります。
8. 歯医者さんでできるサポート
歯医者さんでは、口呼吸が歯並びに与える影響を
専門的にチェックできます。
① 歯並び・あごの成長チェック
- 上あごの幅
- 前歯の角度
- 開咬の有無
など、成長に必要なポイントを見てくれます。
② 舌の位置や飲み込み方のトレーニング(MFT)
プロが教えるMFTはとても効果的。
③ 必要に応じた治療(咬合誘導)
あごの成長を助ける治療の提案も行われます。
④ 鼻呼吸の習慣化サポート
お子さまの様子に合わせて、
無理なく続けられるアドバイスをしてくれます。
まとめ:鼻呼吸は未来の歯並びと健康を守るチカラ
口呼吸は、
- 歯並び
- あごの成長
- 姿勢
- 健康
- 集中力
- むし歯のリスク
など、多くのことに影響する習慣です。
でも、鼻呼吸を意識して毎日少しずつ改善していくことで、
必ず良い変化が起こります。
★ 今日からできること ★
- 口が開いていないか気をつける
- 鼻呼吸の練習をする
- 姿勢をよくする
- よく噛む
- 舌の位置をしっかり上顎に吸い付ける
- 家族みんなで応援する
鼻呼吸は、
“きれいな歯並び”だけでなく“元気な体”もつくります。
今日から一緒に、
正しい呼吸で元気な毎日を目指しましょう!
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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