【幼児・小学生の歯科知識13/29】 歯医者さんでのフッ素塗布の効果

「フッ素ぬりまーす!」
歯医者さんでそう言われたことはありませんか?
歯をピカピカにしたあと、甘い味がするジェルや泡を歯に塗ってくれるあれです。
すぐに終わるし、痛くもないので「なんでやるの?」と思う子も多いはず。
でも実は、このフッ素塗布にはむし歯を防ぐヒミツのパワーがたくさんあります。
この記事では、フッ素のひみつやなぜ歯医者さんで塗ってもらうと良いのかを、ゆっくりくわしくお話ししていきます。
フッ素ってなに? 食べ物にも入ってる自然の成分!
「フッ素」と聞くと、なんだかむずかしくて化学の実験みたいに感じるかもしれません。
でもフッ素は、地球上のいろいろなところにある自然の成分です。
- 水
- お茶
- 魚
- 野菜
- 土の中
こんなふうに、私たちが普段食べたり飲んだりしているものにも入っています。
だから、フッ素は特殊な“薬”ではなく、自然界にもともとあるミネラルの一つなんです。
そのフッ素を、歯医者さんでは「むし歯予防のため」に特別なジェルや液体として歯に塗るのです。
どうしてむし歯になるの? フッ素の役わりを知る前に
フッ素塗布のひみつを知るために、まず「むし歯がどうしてできるのか」を知っておく必要があります。
むし歯ができるには、3つの悪者がそろう必要があります。
① むしば菌(ミュータンス菌)
歯の表面につくばい菌で、砂糖を食べて「酸(すっぱいもの)」をつくります。
② 砂糖(おやつ・ジュースなど)
むしば菌は、砂糖をエサにして元気になり、酸をどんどん作ります。
③ 弱くなる歯
歯の表面(エナメル質)は強いけど、酸に弱い部分があります。
この3つがそろうと、
歯が酸に溶かされ → 小さな穴があき → むし歯になる
という流れが起こります。
歯は毎日「溶けたり戻ったり」をくり返している!
実は歯は1日の中で、
- 酸で少し溶ける(脱灰 だっかい)
- だ液で元に戻る(再石灰化 さいせっかいか)
という動きをず~っとくり返しています。
お菓子やジュースを飲むと、歯は一時的に弱くなりますが、だ液ががんばって歯を元に戻しています。
しかし、あまいものを食べる回数が多いと、だ液の修復が追いつかず、むし歯が始まります。
フッ素は歯のヒーロー! 3つの大事な働き
ここでようやくフッ素の出番です。
フッ素には歯を守る3つのパワーがあります。
① 歯を強くして、むし歯になりにくくする
フッ素は、歯のエナメル質という硬い部分に入り込み、
「フルオロアパタイト」という、酸に強い結晶に変えてくれる
という力があります。
かんたんに言うと…
「フッ素をぬると、歯の表面が酸に負けにくい、スーパー強い歯になる!」
ということです。
② むしば菌の動きをおさえる
むしば菌は砂糖を食べると酸を出しますが、
フッ素はその細菌の働きを弱めます。
「むしば菌のパワーをダウンさせる」
という、まるでヒーローのような役割があります。
③ 弱った歯を元に戻るスピードを早める
フッ素には、だ液が歯を修復するときの“手伝い”をする働きもあります。
「弱った歯をもっと早く、元気に戻す手助け」
これこそフッ素ならではの効果です。
5. 歯医者さんのフッ素塗布がとくに効果が高い理由
家でもフッ素入り歯みがきペーストを使っていると思います。
では、どうしてわざわざ歯医者さんでフッ素を塗るのでしょうか?
理由は4つあります。
① 家より“濃いフッ素”を使えるから
市販の歯みがき粉にもフッ素は入っていますが、
歯医者さんのフッ素はもっと濃いもの(高濃度)を使えます。
むし歯予防のパワーが高いのです。
② プロが歯をピカピカにしてから塗るから効果UP
フッ素は、歯の表面がきれいなほどしっかり働きます。
歯医者さんではまず、
- 歯のクリーニング
- 歯垢(しこう)や着色の除去
などをしてくれるので、
フッ素が歯にしっかり定着しやすい状態になります。
③ 塗る場所が正確でムラがない
お家の歯みがきだけでは、上手に塗れない部分があります。
歯医者さんなら、
- 奥歯の溝
- 歯ぐきの近く
- 生えたばかりの歯の弱い部分
などむし歯になりやすい場所を中心に、ていねいにフッ素を塗ってくれます。
④ とくに子どもの歯に効果が大きい!
生えたばかりの歯は、まだ表面がやわらかいので、むし歯になりやすいのですが…
同時に、フッ素がいちばんよく効く時期でもあります。
だから、小学生・幼児のフッ素塗布は “最強のむし歯予防” と言われています。
フッ素塗布ってどうやってやるの? 手順をやさしく説明
実際のフッ素塗布は、とても簡単で数分で終わります。
よくある手順は次のとおりです。
- 歯をクリーニングして汚れを落とす
- 歯を軽く乾かす
- ジェルやフォームを歯に塗る
- 軽く吐き出して終わり
痛みもなく、患者さんはイスに座っているだけ。
歯医者さんに行くのが苦手な子でも安心です。
7. どのくらいの頻度で塗るといいの?
年齢によって少し変わりますが、一般的には、
- 1~3か月に1回
と言われています。
とくに
- 歯が生えた直後
- 生え変わりの時期
- 新しい奥歯(6歳臼歯)が生えた頃
しっかりフッ素を使うと、将来むし歯になりにくい歯になります。
フッ素は安全? よくある質問に答えます
Q1:フッ素は体に悪くないの?
→ 正しい量を使えば問題ありません。
歯医者さんで塗る量は国の基準よりもずっと少なく、安全に管理されています。
Q2:うがいできない小さな子でも大丈夫?
→ 問題ありません。
泡(フォームタイプ)やジェルなど、飲み込んでも害がない量で使うように調整されています。
Q3:家の歯みがきペーストと併用していい?
→ むしろしたほうが効果アップ!
“歯医者のフッソ × 家のフッソ” の両方でむし歯予防になります。
ただ!フッ素塗布だけで安心しないで! 家での習慣がとても大事
フッ素はむし歯予防の強い味方ですが…
フッ素を塗ったからといって、むし歯にならないわけではありません。
大切なのは、毎日の生活習慣。
- 歯みがきは寝る前がとても大切
- ダラダラ食べをしない
- ジュースやスポドリの飲みすぎに注意
- 仕上げ磨きはできれば小学校高学年まで
フッ素塗布は「武器」ですが、
毎日の習慣は「城の守り」です。
どちらもセットで強くなります。
まとめ:フッ素塗布は歯をまもる最強の味方!
ここまでの内容をかんたんにまとめます。
- フッ素は自然にある成分で、むし歯予防に効果的
- 歯を強くし、むしば菌を弱らせ、修復を助ける
- 歯医者さんのフッ素は濃くて、効果が高い
- 生えたばかりの子どもの歯に特に効く
- 生え替わりの複雑なお口環境に効果的
- 1~3か月に1回塗るとより効果的
- 安全性が高い
- フッ素だけに頼らず生活習慣の見直しも大切
むし歯は、一度できるともう自然には治りません。
でも「予防」ならできます!
フッ素塗布は、あなたの歯を長く守る“とっておきの力”です。
歯医者さんでフッ素を塗って、未来の自分の歯を守ってあげましょう!
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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